■ 小網代の入江
               (入口編)
神奈川県 三浦市
【最寄】 京急バス 『 引橋 』 『松輪入口』 『小網代』
撮影 2006/11/08 ・ 2007/01/01 ・ 2007/03/14 ・ 2007/04/05




 謎の女性ミサゴの住む場所として、子供たちの出会いの場として、読者にとって大変なじみのある 『小網代の入江』 は、『小網代の森』 という名前で 三浦市 に実在します。


 「自然公園」と呼ぶには放ったらかしすぎるが、「原生林」と呼ぶには最低限の人の手が入っている…

 そんな不思議な『小網代の森』は、かつて人によって開拓された後、ゆるやかに以前の姿に戻すことを目的に、極力手を加えずに見守られている私有地なのだそうです。


 人工的とはいえ、人の手から離れて再びかつての姿に返っていくこの森の姿は、いわば 『夕凪の時代』 そのもの…

 見ず知らずの僕たちに私有地を開放してくださっている方の善意を忘れずに この森を味わうことこそ、『ヨコハマ〜』ファンに求められる姿勢だと思っています。

 感謝謙虚 を胸に、楽しみましょう。






 こちらの森は「公園」ではないので、事前にある程度の 注意 と 準備 が必要になってきます。

 以下に、思いつくかぎりで列挙してみました。



★『汚れてもいい格好で』

 この森は、整備された公園のような場所ではありません。
ちょっとした湿地帯に行くつもりで準備しましょう。
 場所によっては狭い箇所もあるので、荷物はコンパクトに。

 ズボンのすそは間違いなくドロドロになるので、すそを入れられるブーツか、替えのズボンを用意することをお勧めします。


★『数日前からの天候確認』

 三浦の自然に共通して言えることですが、上空の生い茂った木々がフタの役割をして、予想以上に地面に水分が保持されています
 ドロドロになる覚悟が無いのなら、雨の翌日は避けましょう。 2〜3日晴天が続いたり、湿度の低い日が連続した後なら、おそらく大丈夫です。



★『トイレはありません』

 公衆トイレは、僕の知るかぎり「南口」の港にしかありません。 前日から水分を控えめにしたり、三崎口駅できちんとトイレを済ませておくと良いでしょう。



★『そして、もちろん…』

 『ゴミを捨てない』、『枝葉を持ち帰らない』 などなど、基本的なところは自然公園と同じです。
 そういうマナーを大切にしている方には分かりきったことと思います。



★『季節にも注意を』

 実は先日(2007年6月)初めて、の小網代の森に行ってみたのですが…
いつもの道が草木で半分ちかく隠れてしまっていたのには驚きました。

 今まで、春・秋・冬の森は体験していたのですが、そのどれよりも動きづらかったです。 植物が元気すぎる季節だからでしょうね。

 なので、初めての方は夏はちょっとツラいかも? 勢いもほどほどで新緑の美しい、4〜5月ごろがベストシーズンではないでしょうか?

















 『小網代の森』の出入口は、僕の知るかぎり大ざっぱに6つあります。

 いずれも、知らなければ素通りしてしまうか、知っていても入るのに勇気のいる、不思議な入口ばかりです。



 まずは、もっともオーソドックスな 「北東口」 からご紹介しましょう。


 京急三崎口から、に向かうバスに乗ってください。 行き先は、城ヶ島でも、油壺でも、三崎東岡でも、なんでもOKです。 なにしろ、たった2つ先のバス停『引橋』 が現地ですから。

 それでも、そこまでの1.5キロは ゆるい坂道なので、森を散策する体力を温存する意味で、徒歩よりもバスをお勧めします。

 バスからは、右手に、左手に広い大根畑が楽しめます。



 バス停で下りたら、横断歩道で反対側に渡り、駅に向かって戻りましょう。

 ほどなく「法務局入口」というT字交差点があるので、左折。

 すぐに「和風レストラン 小網代の森」の看板があるので、左斜めに進む下り坂に入りましょう。 レストランを越えると急に道が木々のトンネルに入ります。


 坂の途中の、自動車が不法廃棄してある場所(2006年当時)で左折し、Uターンするように進みます。



 しばらくすると、前方の金網に道をふさがれます。

 「あれれ? 行き止まり??」とあわてますが、ふり返れば 『小網代の森』 の説明が書かれた看板が…

 正解は、金網にぶちあたったら、右折して金網にそって坂を下る です。








次は 「北口」 です。


 バス停 『引橋』 で降りたら、「北東口」同様、レストランの看板が見えるところまで来て下さい。

 ここから左には下らずに、法務局の道をそのまま歩き続けます。


 500メートルほど進んで民家が切れた直後に、左に、車1台分ほどの中途半端な敷地が現れます。

 この敷地の南端まで進み、50センチほどの盛り土を越えてみましょう。
いきなり林の中に下りていく1本道が現れて、驚くと思います。

 これが「北口」です。












 続いて 「北西口」


 「北口」から、さらに200メートル、道ぞいに西に進みましょう。

 道が大きく右にカーブし始める少し前に、南の大根畑の中を突っ切るようにのびるコンクリートの道があるはず。

 どう見ても私道で、入るのに勇気がいりますが、この道にそって300メートルほど進むと、やがて木々のトンネルの中の小さな道に行き着きます。

 これが「北西口」です。


 やや分かりづらいので、心配になったら付近の地元の方に確認すると良いかもしれません。 もっとも畑仕事の人以外はほとんど使用しない道なので、他人に会うことはマレですが…(笑)












 そして 「南口」

 ここは、小網代湾を眺めつつ丘を下る、眺望の良いルートです。



 アクセスは、まず 京急三崎口 から 油壺行き「三4」系統 のバスに乗ります。

 この路線は、20分に1本程度のペースで出ています。

 降車バス停は、そのものズバリ 『小網代』



 バス停からは、まず、今来た道を50メートルほど戻り、カタカナの「エ」のような交差点へ。 ここを、左へUターンするような感じで、北西へ進みましょう。 この道だけ急な下り坂になるので、正しい道かどうかはすぐに分かると思います。

 というか、下り坂になった時点で、前方に町並と小網代湾が見えてくるので、多分 間違えようがありません(笑)



 坂道を400メートルほど歩いて下りきると、目の前が小網代湾のです。

 さらに西へ200メートルちょっと進むと、トイレがあります。 小網代の森につながる数々のルートのうち、唯一のトイレですので、憶えておくと便利です。


 逆に北東へカーブしつつ200メートルちょっと進めば、『白髭神社』 が見えてきた頃に、右側に 貸しボートの駐車場 の脇に入っていく小道が見つかるはず…

 これが「南口」です。



(1つ注意点を。 このルートを「帰り道」として使う場合、バス停の位置に気をつけてください。 バス停『小網代』は、行きと帰りのバス停の位置が 150メートルも離れているのです。

 三崎口方面のバス停は、先述の型の交差点から南東へ70メートル…

 しかも、小網代湾のほうから歩いてくると、ちょうど電柱の裏に隠れるように配置されているので、離れた場所からだと それ と分からない場合があるのです。

 このバス停の配置… 交差点の流れを重視したのか、地元の方の利便性に配慮したものなのかは分かりませんが、ビジターにとっては、ちょっと不親切に感じずにおれません。)















 ここより上の紹介を書いたのは 2006年 (今は、07年3月です)

間が空いてしまいましたが、今日は 「南東口A」 をご紹介しましょう。



 この道は、数ある「小網代の森」ルートの中でも1・2を争う分かりづらさです。

 また、『鉄塔の管理をする作業員の方が主に使用する道』らしく、途中何ヶ所か、特に最後の「森のメインルートと合流」する箇所の難易度が、ハイキングコースとして見ると高いのです。

 少々服を汚す覚悟で挑んでください。



 まずは、京急『三崎口』から南行き(何でもいい)のバスに乗り、3つ目のバス停『松輪入口』 で下車します。

 付近にはここしか信号が無いので、道路の西側に渡っておきましょう。



 ここから100メートルほど北に戻り、カーブの途中にあった細い坂道を登って、南へ向かいましょう。 道が狭いわりに、けっこう自動車の往来がありますので、ご注意を。

 他人の家ごしに見える、彼方の江ノ島… 『小網代配水塔』… ゆるい坂の麓に広がる三崎の町並み…

 そういったものを味わいつつ500メートルほど進んだところで、右側に写真のようなコンテナ倉庫が。 この左脇の小道こそが、「南東口A」です。



 初めのうちこそ住宅の合間の小道ですが、ある場所まで来た貴方は、「あ! 道をまちがえた」と思うことでしょう。 パッと見、完全に行き止まりなのです。

 が、ここは落ち着いてさらに近付いてみてください。

ほら、そばの民家の塀に沿うように、右に折れた細道が続いているでしょう?

 実は、ここからが 「小網代の森」 なのです。










(以下、撮影したときのコースが「森 → 入口」だったため、写真の向きも
それにしたがうものがほとんどです。 参考程度にご覧ください。)



 しばらくはアップダウンこそありますが、決して難しいルートではありません。

 また、あまりメジャーな道でない分、人に出会うことも少なく、自分1人で「森」をたっぷり満喫できます。

 ちなみに、余裕があればこの辺りで になりそうな長さ1メートル弱ほどの固い枯れ枝を拾っておいて下さい。 理由はいずれ分かります。



 途中にある鉄塔も、眺めていきましょう。

 この近辺には、『三崎線 100番鉄塔』 という、ちょっと感慨深いナンバーの鉄塔もありますから。


 やがて道は谷間へ下ります。 下り坂にはロープが用意され、谷間には鉄板の小橋が敷かれているので、特に問題は無いでしょう。









 雲行きが怪しくなるのは、この辺りから…

 まず、草ボウボウでモロい坂道を登ることになります。 崩れて溜まったらしい表面の土や小石・枯葉で、簡単に足を取られます。 角度も急でキケンです。

 ここは、先ほど用意した で、地面を突き刺しながら登りましょう。
地面がやわらかいので食いつきもイイです。

 以降にも、段差などやや難しい場所がありますが、最初の坂に比べればなんとかなるレベルです。



 さて、だいぶ森の中心に近付いて、そろそろ合流かな〜?と思った所で大難関が立ちふさがります。

 その名もつるつる坂(いま命名)

 草もほとんど生えていない30度近い傾斜の坂道が10メートル近く続く、「小網代」最大の難所です。

 両側に生える木も細くて小さく、可哀想で手がかりにする気になれません。
前日に雨が降っていたりすると、ここはまさに、オイルを塗った すべり台



 上からなら滑り落ちることもできますが(ただし道はすぐに左折するため、失敗すると枯草混じりの段差に転落することになります)、下から登るのは、道具無しでは ほぼ不可能…  を使って慎重に慎重にこなして下さい。


 ここを越えれば、はれて森の中心に到着です。












 続いては 「南東口B」 のご紹介です。

 何気なく地図を見ていて、「これは 小網代の森 につながっているのでは?」 と気づいて試してみたルートです。

 地元の方が使ってらっしゃる農道の延長ですが、人の手が入っている分、こぎれいで心地良いルートです。



 入口は、先述の「南東口A」のコンテナ倉庫からさらに南へ300メートル。

 林に包まれて分かりづらいですが、西の、5軒ほどの民家が集まる場所へ下りていける舗装された小さな坂があります。

 道ぞいに50メートルほど入っていくと、倉庫のような仕事場のような建物の左脇に、さらに小道が続いています。

 坂になっている小道を降りていくと、やがて林を抜け、谷間のこぎれいな畑の真ん中にいる自分に気づくことでしょう。











 この一帯は、なかなか静かで心地良い場所です。


 移動できる範囲は農道しかない(付近は全て畑です)ので、ちょっと腰をおろして周りの景色を… といった楽しみ方ができないのは残念ですが、他人様の畑のそばでそんな贅沢を言ってはいけませんね(笑)


 道の右(北)に広がる、「小網代の森」の木々の頭たちや、なだらかな畑を楽しみつつ進みましょう。











 坂が下り始めた頃、Y字路ぽい場所に行き当たります。

 直進できそうですが、道としてしっかりしているのは右折している側なので、そちらに曲がってみると… すぐに、北の田んぼの手前で道が終わってしまいました。

 いや、無理してあぜ道を進めば行けなくもないのですが、それはちょっと畑の持ち主に悪いかな、と…

 しかし、左斜め(北西)を見れば、下のほうに森の中央の浅瀬にかけられているの姿が。 あともう少しで、森に入れそうです。



 とりあえず、さっきのY字路まで戻り、草で隠れぎみになっている直線コース(下り坂)を進みます。

 が、それも10メートルほどで終わり、猫の額ほどの畑に行き着きました。

 地図では行けそうな気がしていたけど、この道は「森の入口の1つ」では無かったのかなぁ…? と、初めてココに来たときはあきらめかけたものでした。



 ところが、ガッカリして振り返ると、上からは草に隠れて見えなかった 「幅30センチほどに草を踏みしめた跡」が、下(森)に向かって続いているのが、正面からなら確認できるではありませんか!

 そこを下っていくと、すぐに足下に見えてきたのは、過去に何度か通過したことのある 森の道

 合流したポイントは、から南東へ150メートルほど離れた、小高い場所でした。



 やはりこの道は「森」に続いていたのです! 途中であきらめなくて良かった。

 どこに向かうにも中途半端で、地元の方ぐらいしか使わなそうな道ですが(笑)、「小網代の森のことは何でも知っておきたい!」という方は、一度お試しになってみてはいかがでしょう?





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