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『黒崎の鼻』 が、たびたびドラマや映画の撮影現場に使われる…
そういう話はたしかに以前から聞いてましたが、そういったものに特別興味も無い自分にとっては 「出会いたくない」 「勘弁してくれ」 というレベルのものでした。
黒崎鼻の、やわらかい芝生の上に腰かけ、海からのゆるい(たまに強い)風を受けながら、寝転んで見上げる空(たまに夜空)… 彼方からトンビの声…
それが、自分が求める「黒崎の鼻」の全てだったのです。
しかし、2007年5月9日。
ついに、その日が訪れてしまいました。
午前中〜昼過ぎまで、久里浜・野比方面 のヨコハマ物件の写真撮影をしていた自分は、『三崎口』駅 から 黒崎周辺の撮影もかねて、久々に「黒崎の鼻」に向かっていました。
付近にトイレや店が無く、駅から往復4キロもある「黒崎の鼻」は、キチンと準備しておもむく必要があり、2006年10月から半年ほど疎遠になっていたのです。
でも今日は、GWも終わり、人出も減った三浦半島…
黒崎鼻のようなマニアックな場所に、人のいようはずがありません。
「黒崎鼻の情緒、独り占めか、ふっふっふ…」 と、上機嫌で海辺に向かっていた自分の目に、しかし、見慣れないものが映りました。
ご存知の方もあると思いますが、黒崎鼻へと降りていく細道の南側には、簡素ながらもちょっとした駐車スペースがあるのですが…
そこに、マイクロバス が停まっていたのです。
「なんだろう…? 何かの小規模な観光ツアーかな…?」 等と思い、この時点で ある程度の観光客の到来は覚悟していましたが、
岬に行ってみると、そこには さらに見慣れない光景が…
10名ほどの 警官・刑事 らしき者たちが、丘の先端にたむろしていたのです。
「おいおい、事件かよ…」
「人の昼寝スペースを何だと思っているのか」
など、ものすごく身勝手な思惑 が自分の中で交錯しました(苦笑)
が、事件にしては、個々の様子が それほど緊張していません。
捜査しているというより、「何かを待っている」ような気配があります。
そもそも、付近にパトカーなどいなかったし…
ふと思い当たって、丘の下、波打ち際の岩場を見下ろしてみると…
やはりそうでした。 撮影機材とスタッフ。 丘を見上げるカメラ。
ドラマ(映画)撮影 だったのです。
俳優・スタッフ、合わせて30人はいるでしょか?
「黒崎鼻」の静かな雰囲気が木っ端微塵です…
楽しみにしていた静かでおだやかな昼寝への夢が音を立てて崩れ、半泣きになっている僕がそこにいました…
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