■ 鎌倉の入江を
   見おろす丘 3
神奈川県 鎌倉市 材木座
【最寄】 京急バス 『 長勝寺 』
撮影 2007/12/17




 「もう、あそこしか無いな…」

 今年7月、鎌倉逗子ハイランド の西の丘の見晴し台から、夏の太陽に照らされる 鎌倉 の海を眺めつつ、僕はつぶやいた。



 作中の 『鎌倉花火を眺められる丘』 を探しつづけて1年…

 その間、「披露山公園」、「大崎公園」、「鎌倉第一中学校」、「小坪の丘」
そして今立っている 「鎌倉逗子ハイランドの西の丘」 と、様々な場所を見てきた。


 だが、そのどれもが「何か」がそろわず、決定打足りえなかった。



 そして今、ここから見おろす鎌倉の海の少し手前で、キラキラと輝いている小さな光の群れ… 墓石 が並ぶ、丘の上の 『鎌倉 材木座霊園』

 この方角から最も鎌倉の海に近いあの場所に、最後の望みを託すのだ。



 実のところ、この「材木座霊園」。 前から、めぼしだけは付けていたのだ。

 地図で見つけて以来、霊園のウェブページの園内からの風景写真を見るたびに、「やっぱりここなのかな…」と気になっていた。

 「R.一郎の地理B」(R.一郎さん運営)でも紹介されているし、「鎌倉花火の丘」を探し求める者が必ず辿り着く場所なのだろう。



 ではなぜ、今まで後回しにしていたか?

 理由は2つ。

 京急を使ってのアクセスが困難(後述)な点と…

 ここが霊園である点だ。



 当然、敷地内に墓石を持つ家族しか立ち入りはできない。

 「すみません、ヨコハマ買い出し紀行に関係あるかもなので、写真撮りに来ました」などと口走ったら、叩き出されてエンドである。


 そこで考えた末、一計を案じた。






ふき 「こんにちは。 霊園の管理事務所はこちらでしょうか?
    こちらで見学をお願いできると伺ったのですが…」


 (50歳前後と思しき、白髪混じりの清潔感のある男性が応対)

管理 「かしこまりました、ありがとうございます。
    こちらが資料になります。
    ちなみに、お住まいはどちらになられますでしょうか?」


ふき 「都内になります。 が、将来は三浦半島に住むつもりでおります。」


管理 「おぉ、それは結構ですね〜。
    …ところで失礼ですが、お墓をお建てになるには、
    まだ少しお若いように存じますが…」


ふき 「はい、私も父にそのように申したのですが(笑)、「一生住むことになる
    場所ならば、墓についても事前に検討せよ」 と言われまして…」


管理 「なるほど。 いやいや、お父様のご心配も道理と思われます。」



ふき 「はい、やがては父も入る場所ですし…(笑)
    それでネットで何件か調べてみたのですが、
    半島内からのアクセスの利便性と景色の良さから、
    こちらの物件に興味を持ちまして…
    宗旨宗派を問わない、ともありましたので、まずはとにかく
    こちらの霊園を拝見してみてから考えようと思い、伺いました。」


管理 「ありがとうございます。
    景観は、当霊園の誇りの1つと私どもも自負しております。
    もちろん、宗旨宗派を問わずあらゆる方にご利用いただく方針です。
    さ、それでは園内をご案内いたしましょう。」


ふき 「よろしくお願いします。 そうそう、園内の撮影は可能でしょうか?」


管理 「はい、もちろんです。
    よろしければ園内だけでなく、近隣の景色なども撮影いただいて、
    お父様にご判断いただく材料とされてみてはいかがでしょうか?
    今日などは、富士山も見えておりますから。
    普段はもう少しクッキリと見えているのですが…(笑)
    さぁ、それでは参りましょう。」




 こうして僕は、本当ではないがウソでもないやり取りによって、園内の案内を受け、付近の様々な景色の撮影に成功したのでした。 














 …と、いう流れをシミュレートしていたんですよ、入るまでは。
 (上記のやり取りは、全て僕の想像です)



 ところが、いざ霊園敷地に入ってみると、霊園管理の瓦屋根の平屋の中には人がいるように見えず(いたかもしれないけど)

 時間が惜しかったので、そのままコッソリ中に入らせていただきました。



 敷地は場所によっては10メートルほどのアップダウンがあり、合計面積は2ヘクタール程度という所でしょうか?

 12月中旬の平日という事もあってか、見回せばこの広い敷地内には、拡張工事らしき作業員2名と僕の、たった3名。 …というか、これはもう、僕の貸し切り状態といってもよいほど。

 園内をくまなく歩き回り、丘の西端から鎌倉の海を撮影させていただきました。



 印象としては、霊園のホームページの紹介から受けたイメージほどは、景観は良くなかった感じでしょうか?

 敷地自体が南西へ行くほど高くなっているせいで、北や東の墓は景観がシャットダウンされてしまうため、富士山鎌倉を楽しむためには南西の墓場を購入する必要があります。

(もちろん、富士の見える奥のほうまで歩いて行くことも出来ますが、お盆などのお墓参りの日は他の人ともバッティングしやすいので、富士の見える側に家族でかたまってワイワイ… というのは、ちょっと難しいし、周りの人にも迷惑だと思うのです。)



 その西側も、直射日光を防ぐためか安全のためか、中規模の樹木と鉄柵が立てられており、工夫しないと景観がクリアに楽しめないのです。

 それとも、敷地内のどこかに専用の見晴し台でもあるのでしょうか?

 もちろん、谷間などにある普通の霊園に比べれば、はるかに良い景観を楽しめる場所ではあります。




 さて、こうして入手した写真の数々ですが…

 鎌倉の海の見やすさにおいては、今まで周った場所の中で隋一です。
海との間の林の見え方も、良い感じです。

 ただ、稲村ヶ崎の谷間の見え方に、まだ漫画内と矛盾する点があります。



 以上から、やはり現時点での最有力候補地は 『橋を渡った先の、広い工事現場』 であり、次点が 『材木座霊園』 というふうに思えます。



 …といった所で、付近の丘を全て周ったこの時点で、僕の「鎌倉の海が見える丘」を追い求める旅も終了です。

 確定情報に至れなかったのが無念ではありますが、ヨコハマ名所を追っていなければ まず足を運ばなかったような場所を多数見たおかげで、この付近を今では、心から親しい地の1つに感じられます。 鎌倉花火に感謝です。






最後にアクセスです。

 といっても、先述のとおりここは霊園。 関係のない人間の立ち入りを許可していないので、訪問は自己責任で夜露死苦お願いいたします。


 JR『鎌倉』 から、京急バスで 『長勝寺』 まで行くのが、最も簡単なルートです。

 ただし、バスの本数は昼間は30分に1本。
「鎌倉 〜 長勝寺」は1.5キロ程度なので、歩いてみるのも良いかもしれません。



 問題は、京急関連オンリーで辿り着く場合。

 京急『新逗子』 から直接「長勝寺」に向かう名越ルートのバスは、朝夕の、しかも1時間に1本ずつしかありません。

 そのため、本数の多い小坪ルートで、一度 JR鎌倉駅 まで行き、先述の30分に1本のバスを利用するのが現実的だと思われます。


 強いて言えば、鎌倉駅に向かう途中の バス停 『水道路』 あたりで下車して、霊園まで歩く… という手がありそうなのですが、これは僕自身が未体験なので、必ず事前に調べてからお試しになってくださいね。


 『鎌倉 材木座霊園』 の門(?)をくぐり、ゆるい坂道を時計回りに500メートルほど歩けば、霊園敷地に到着です。





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