■ 『海の道』を求めて (その2)




「海の道」の風景のモデルとなったのは、『逗子マリーナ』近辺


その結論に至る前に、今一度、
「海の道」に関する情報をまとめてみましょう。








★アルファさんの視線の彼方に、
大きめの岬のような地形が、前後して2つある


★その岬の、手前のほうのものの麓には、
ビルのような建物 がある


★アルファさんの立つ斜面のふもとには、
かつて大きめの道路があったことを思わせる
外灯の列 がある







★アルファさんは、岬のような地形に近づいた際、
岬に対して「向かって左側」の斜面から、
海辺に降り立った








★アルファさんが歩いた海辺には、
コンクリ広場 のようなものがあった








これだけの条件を満たす場所など、あるのでしょうか…?




…あるのです。

たった1箇所だけ。



それが今からご紹介する、

『小坪5丁目の丘から、南東を望む』 ケースです。






■『小坪5丁目の丘から、南東を望む』


「小坪5丁目の丘」… などと言われても、
ピンと来る方は少ないと思うのですが、


『逗子マリーナの、すぐ北にある丘』

『鎌倉の海岸の東の端、トンネルのある辺り』


などの言い方をすれば、

付近の地理に詳しい方なら、
「あぁ」と思い当たるのではないでしょうか?



また、当サイトをシッカリと読み込んでくださっている方であれば、
『鎌倉の入江を見下ろす丘』 を探した際に足を運んだ場所…
と言えば、思い出していただけるかと思います。





それでは以下で、
「小坪5丁目の丘」がどういう場所かを、
1つ1つ紹介していきましょう。




この丘は、高さはおそらく40メートル程度


(これは、西にある、鎌倉の海の「材木座海岸」から見た「小坪5丁目の丘」です)


(こちらは、同じ丘を、東にある「大崎公園」から見た場合です)




すぐそばには 逗子マリーナ があり、当然近辺には、
アスファルトとコンクリの地面が広がります

アルファさんが波打ち際を歩いていたときに見た、
高さ4〜5メートルほどのコンクリ壁も、
マリーナのマンションの残骸と考えれば、ツジツマが合います。

また、丘のそばには、外灯が並ぶ道路も何本かあります






丘の斜面から右(南東)を見れば、
『大崎公園』を背負った丘が南にのび…


(これは、逗子マリーナの東端あたりから見た、「大崎公園を背負う丘」です)


(これは、マリーナの南東、「小坪漁港」まで近づいて見た、大崎公園の丘です)

(本当は、ズバリ『小坪5丁目の丘』から見た写真が撮れれば良いのですが、
現在はまだ逗子マリーナのマンション群が健在で、
南東の風景をブロックしてしまっているため、不可能なのです…)





さらに岬の根元には、2つの大きな建物が


(右側の建物は、『小坪マリーナ』というそうです)




加えて、「小坪5丁目の丘」から
「大崎公園の陸の先端あたり」までは、約800メートル

これは、当話の冒頭における、
アルファさんと岬の距離
を考えたとき、
実にイイ線いっていると思うのです。



す、素晴らしい! 完璧ではないですか!?







というわけで、

『海の道』の探索、ここにコンプリートです!



…と言いたいのは山々なのですが、

実は小さな「引っかかり」が残っていて、
最終的な決断に至れずにいます(泣)




その理由とは…

『コマによって、ビルの数が違う点』 への疑問です。



ここでもう一度、2つのコマを見比べてみてほしいのです。







お分かりでしょうか?

最初のコマでは彼方に「2つ」見えていたビルが、
接近したときには「1つ」になってしまっている…




これはつまり、

最初のコマでアルファさんが見ていた岬と、
丘を降りて近づいていった岬とは 別のもの


である可能性を示しているのです。



だとすると、アルファさんは、
まず、どこかから「ビルが2つある岬」を眺め、

しばらく歩くか、向きを変えるかなどしてから、
海の道のついた丘を下り、
先ほどとは別の「ビルが1つある岬」に向かった…


という流れになり、


僕が探すべき場所も、『2箇所』になってしまう わけです。




しかし先述の通り、

三浦半島の近辺で、漫画内の風景と高い合致率を示す場所は、
「小坪5丁目の丘」のみというのも、また事実…


それが、資料がここまでそろいながら、
4年近く経っても、この場所をサイトに
アップできなかった理由だったのです。








以上で、『海の道』 に関する僕の資料は全てです。



残念ながら、これを書いている2012年10月現在の僕には、
これ以上の探索のアテがありません。

(強いて言えば、「藤沢駅」近辺の高台から南のほうを見たときの風景が、
地図から想像すると、漫画内の風景に近いようにも思えるのですが…
ネットで近隣の写真をいくつか見たかぎり、ちょっと雰囲気が違うように思えます)




この資料を引き継いで、
より原作に近い「海の道」を見つけてくれる人の登場を、
期待したいと思います。





ヨコハマ名所が1つ解明されることは、

この日本に、『ヨコハマファンが訪れて、
作中の登場人物の思いに心を重ねられる、そんな心の風景』
が、
1つ増えることと同義です。


現地考察の素晴らしさ は、
そんなところにあるのではないでしょうか?




あなたからの情報提供…

あるいは、発見の報告を、心待ちにしております。









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