■ 107話 『マルコ、1人でカフェアルファへ』 春先のカフェアルファに現れたのは、歩きのマルコ。 マルコの入店直後に、今まで客に対して見せたことの無い、 何ともいえない表情をするアルファさん。 珍しいというか、初めての光景です。 コーヒーを出すときに「あいかわらずですけど」と チクリと反撃するアルファさん。 車を置いて歩いて来たおかげで 「期待通りのモノが見れた」と、 してやったりの顔のマルコ。 そんなマルコに「うわっ ヤなやつ」と 事も無げに文句をたれるアルファさん。 しかも超黒糖で、マルコの大泣き顔をゲットするアルファさん。 タカヒロにとっては姉であり、 ココネにとっては恋人的なポジションのアルファさん… 考えようによっては、そんな彼女が初めて出会った いじれる友人が、マルコなのではないでしょうか? 「このあいだはさあ… ココネさんに悪いことしたなって思ったよ」 と、遠まわしにアルファさんに詫びを入れるところが、 らしいと言えばらしいマルコです。 長い間棚上げになっていたワイドマップの件もカタがつき、 マルコが持っていたアドバンテージが少しずつ無くなっていきます。 それは同時に、 2人が本当の友人になっていった証でもあるのです。 |
■ 118話 『営業中のマルコ、 アルファさんとバッタリ』 ヨコハマに豆の買い出しに来たアルファさんと、 バッタリ会ってしまった営業中のマルコ。 お得意の営業スマイルをバッチリ目撃された上に、 本人と看破され、「最悪のとこ見られた…」と真っ赤に… ココネにさえ見せていなかった (多分、生涯見せるつもりは無かったんだろうけど) 生活のために自分の心を売っている場面を目撃されて、 さすがに観念したのか(笑)、 今までのアルファさんとの付き合いで 唯一隠しつづけていた、 『自分とナイに、交友関係があること』 をバラしてしまうマルコ。 対面して、2年半… ついにお互いの間に意図的な隠し事が無くなり、 本当にイーブンな2人の交友が幕を開ける、記念の日です。 |
■ 133話 『5年』 あの、カフェアルファでの事件から約5年… 三浦半島らしき砂浜に、 本作の若い女性陣が集結します(笑) メンバーは、アルファさん・ココネ・マッキ… そして、マルコです。 マッキからの口伝でのマルコの近況は、 ココネのいるムサシノ運送からの誘いに応じず、 自分でイラストのアルバイトを見つけて働いているとの事。 ニュートロンの営業は辞めたようです。 そして、お気づきになったでしょうか? あの102話以降、「アルファさんとココネ」 「アルファさんとマルコ」 の組み合わせはありましたが、ココネとマルコが一緒にいる シーンが描かれたのは、今回が初めてなのです。 しかもそれは、「他の仲間と一緒に」という体裁がとられており、 当のマルコはアルファさんにもココネにも積極的に関わらず、 1人砂浜での日光浴を楽しんでいます。 浪打ち際に軽く浮きつつ、 浅い海辺を仲良く駆けていくアルファさんとココネを、 目を細めて見守るマルコ… 読んだ当初は「マルコはカナヅチなのかな」 ぐらいに考えていた僕ですが(笑)、 こうして彼女たちの関係を追ってきた今の自分には、 『これが、彼女が最終的に選んだココネとの距離』 だったのでは?と思えるのです。 カフェアルファで、アルファさんを相手に、 (おそらく)今まで自分には見せなかった 嬉しそうな表情のココネを見てしまったマルコ… この時… いえ、すでに最初から、 マルコのココネへの恋(?)は成就することは無かったのです。 そして、ココネの彼氏(?)であるアルファさんに直接会い、 その人柄を知るほどに感じる自分とのギャップと、尊敬… マルコが自ら身を引いた気持ちも、 分かるような気がするのです。 それでは、マルコの恋(?)は終わったのか…? と考えれば、実はそうではないのです。 さあ、いよいよ結論の時がやってまいりました。 マルコの恋の結末を秘めた最終話、140話を考察してみましょう。 (以下では最終話の内容にふれています。 未読の方は、できれば14巻を入手後にご覧ください。) |
■ 140話 『マルコの選んだ、彼との距離』 あれから 50年… 「人の夜」がゆったりと広がっていく地球の上で、 今日もアルファさんはコーヒー豆を求めて、 数年ぶりの「ヨコハマ買い出し」に出かけます。 人もまばらになった紅葉山商店街の、 いつもの輸入雑貨店に入るアルファさん。 そこで彼女を接客したのは… 商店街の前掛けをしたマルコでした。 その会話内容から、これが初めてというわけではなく、 いつの頃からかヨコハマのこのお店で働き出して すでに、ある程度の年が経過しているようです。 それにしても、絵の道で食べるために 「画材店の営業」・「イラストのバイト」 に精を出していたマルコが、 どうしてヨコハマの町で、 絵に無関係な輸入雑貨店の店員を しているのでしょう? 1つには、すでに「絵を書く仕事」というものが成り立つほど 余裕のある世の中ではなくなっていることが推測されます。 人の数がここまで減ってしまうと、 寂しいですが当然の流れかもしれません。 でも、だからといって、何もマルコが 「輸入雑貨」を営む必要はありません。 それをさせた、彼女自身の目的とは何だったのか? おそらくですが… 店主の兄ちゃん(今はおじいちゃん)が亡くなった後の、 『カフェアルファの存続』 を考慮しての事なのでしょう。 そして、それは同時に、 ココネとアルファさんの2人の幸せを意味します。 でも、「マルコはそこまでココネのことを…」(涙)と 結論してしまうのは、ゴールの1歩手前です。 マルコは、ココネのためにこの店で働いているのではありません。 アルファさんに接客するマルコの会話の中にも、 ココネの近況を尋ねるフシはありません。 コーヒー豆をたっぷりオマケして、 ただ、「今度 遊びで来なよ」と笑って アルファさんを送り出すだけです。 もう、お分かりでしょうか…? そうなのです。 彼女がこの仕事を選んだのは、 片思いの彼氏(?)であるアルファさんのため なのです。 ココネの彼氏(?)になろうとしたマルコは、 その過程で自分の前に立ちふさがり、 「本来のマルコ」をさらけ出せるほどの人物 アルファさんを深く知ることで、それを諦めました。 アルファさんとココネの間に、自分は入れない。 でも自分は、永遠に近い時間を、 離れた場所から眺め続けることができる。 …彼を。 新たな恋(?)の対象である アルファさん を。 数年に一度、アルファさんが仕事で寄ってくれる この輸入雑貨店こそが、 彼女の選択した、片思いの彼との距離でした。 ココネへの片思い(?)から始まったマルコの恋は、 アルファさんへの永遠の片思い(?)という形をもって、 永い時の中で静かに燃えつづける事となったのです。 |