最年少の マッキ が登場し、 今まであまり語られなかった子供たちのやり取りが加わって、 作品の幅が広がります。 ターポン内部 の描写や、 子海石先生の ロボット開発 の思い出が語られ、 断片的ですが、謎が少しずつ明かされていく巻です。 |
第24話
日々のお子達
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タカヒロが勉強していますが、これは親戚に教わっているのか、寺子屋なのか… 後者だとしたら想像を絶する少子化です。 そして多分そうなのでしょう。
夕凪の時代の三浦からは、やがて人の匂いは無くなってしまうのでしょうか。 「明日の社会は、大地震の話から」だそうです。 そんな事があったのですね… 32話で、頭頂部の形状が変わってしまった富士山の話が出ますが、恐らく噴火によって火口が吹き飛び、同時に大地震が発生したのではないでしょうか? そしていよいよ、マッキが登場します。 年齢相応の、髪がちょっと長いだけで性別不明といった少女として描かれています。 かと思うと、畳になよなよと崩れ落ちてグーの手を口元に、『あの女(ひと)の所に行くのね』と誘惑(?)したり、一体どこで憶えてくるんでしょうねこんな仕草。 いや、ほんと、誰が教えてんだよ! 僕が父親なら問いただしますね。 「マッキ、そこ座れ」とか言って。 部屋の中にフナムシをぶちまけてしまうマッキ。 僕も、三浦の剣崎の岩の海岸で、すさまじい数のフナムシを見たことがあります。 100や200といったレベルではなく、もう付近(10メートル四方)に、手のひらほどの範囲ごとに大小数10匹のフナムシがうごめいておりました。 総勢で軽く万には達していたはずです。 写真にとっても、パッと見で岩の模様にしか見えないほどまんべんなくギッシリと。 岩場の先端に行くために、彼らの群れの間にソーっと足をおろすと、水面に広がる波紋のようにザーーっとフナムシが避けて丸い空白地帯ができる… 真夏だったこともあり、その光景に軽く意識を失いかけたものでした。 それでも無理して先端まで行ってきました。 そんな経験もあってさすがに慣れてしまいましたが… フナムシ。 比較的よく『カフェアルファ』に顔を出しているので気にもしていなかったのですが、タカヒロの家から『西の岬』はけっこう遠いようです。 子供の感覚で、かつ自転車を使っていることから、最低4〜5キロは離れているのではないかと。 ちなみにこの日、タカヒロはココネと初対面します。 |
第25話
遠い夏休み
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ガススタンドのおじさんに軽トラを借りて、砂浜に泳ぎに行くアルファさんとココネ。 内陸暮らしのココネは、砂浜を見て大感激。
けっこう知らない方も多いのですが、現在の三浦市も、海に面している箇所はいくらでもありますが砂浜はあまり無いのです。 もちろん、三浦海岸を中心とした金田湾一帯には延々と砂浜があります。 が、それ以外の西岸や、太平洋からの波を直接かぶる南岸になると、途端に減少。 ほとんどは、両サイドにある岩の岬のおかげでたまたま砂が溜まってくれた… という感じの、長さにして100メートルもあれば御の字の砂浜ばかり。 海に入ると途端にゴツゴツの岩が顔を出したりして、海水浴にも向きません。 昨今は、ダムや堤防の設備によって、地上から海に流れ込む土砂の量が減少。 砂浜が一方的に侵食されるので、それを阻止するために浜をコンクリ化… という、景観においての悪循環が繰り返されているとか。 景観は、人の心の土台となるもの。 国をあげて保護に取り組むことは、後々の国家の基礎力形成においても深い意味のある事業と僕は考えています。 さて、話し変わって… 水中でダイナミックな泳ぎを披露するアルファさん。 「魚」のモチーフを好むことからも、彼女のスペックの根幹に海が存在するのかもしれませんね。 最後に、「まー、オレも行く、とは言えねえわな」と、歳相応の心遣いを読者にもらすおじさん。 してみると、タカヒロが「友達と約束があるから」と言って来なかったのも、単にマッキとの約束があったこと以外に、おじさんから「今回は2人だけにしてやれ… な。」とストップをかけられたのかもしれませんね。 |
第26話
青のM1
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M1ことアルファー室長、初登場の回です。 アルファさんやココネの直系の前身機と言われています。 ターポン内部が初めて描写された回でもあります。
ターポンと感覚を同調させている状態で声をかけられて、少しずつ覚醒していく室長は、一度だけ『アルファさん』と呼ばれています。 あるいは、彼女が最初の「アルファさん」であり、2度と戻らない彼女を思う開発者が『A7M2』型に同じ呼び名をつけて寂しさをまぎらわせた… りした経緯があったりもするのでしょうか? 作品後半では、どこか物憂げで思慮深い女性として描かれているアルファー室長ですが、初登場時は「若かりし日の子海石先生」をイメージさせる、ハキハキした中性的女性という感じです。 僕は後半の、特に10巻あたりの彼女を強く推しますね。 て、どうでもいいですかそうですか。 さて、こちらは地上のアルファさん。 曰く、カミナリは『見るのは好き』とのこと。 僕自身、日立のアパートに住んでいた頃、天頂付近から降りそそぐ、空の半分ほどを覆う紫色のイナヅマをベランダから仰ぎ見て、その美しさに時を忘れたことがあります。 しかしアルファさん。 あなた一度、カミナリの直撃を食らっていたはずでは…? 怖くないの? ちなみにこの回、直接ではないですが、最初で最後のA7シリーズ揃いぶみの話だったりします。 |
第27話
朝比奈峠
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『ムサシノの国』に帰るココネを、『朝比奈峠』まで送るアルファ。
P56 の海岸は、おそらく『武山駐屯地』跡で、この先から三浦縦貫道路に入り、横浜横須賀道路を走ったものと思われます。 ココネの帰っていく広い道の真ん中に見える中央分離帯の跡が、この風景をしみじみと不思議なものにしています。 |
第28話
縁
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子海石先生が、アルファさんから手作りのペンダントをもらい、アルファさんたちロボットの生い立ちをふり返る話です。
アルファさんが、ココネたち量産型の前身となる試作機であったこと。 『A7M2』型が、アルファさんを含めて3体存在したことなど、経緯を想像する楽しみがグンと増える思い出話がテンコ盛りの、重要なエピソードです。 「1度目の大高潮」でほとんど水没した『馬堀海岸』から、スキー場「ザウス」のある船橋に向かって発進した、水上艇ミサゴ。 本来はこの実験のデータから、ロボットの自律性を生み出す予定だったそうですが… その後、『まったく別の視点からアルファタイプが生まれる』ことになったそうです。 してみると、アルファタイプは人間の延長線上に無い存在なのかもしれませんね。 ちなみに、先生たちが水上艇を発進させた馬堀海岸は、ちょうど先生が立っている『北の町の公園』から見おろせる海面下にあります。 以前にアルファさんと会ったときも、ふと思い出にひたりたくなったのかもしれませんね。 |
第29話
ひなた
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太陽がゆるゆるとぬくい昼下がり。 タカヒロとマッキの、ゆるーい日常。
タカヒロを独占したいマッキは、アルファさんと会うことに少し抵抗があるようです。 |
第30話
カフェ アルファ
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読者の夢、『自分自身がカフェアルファに行く』を疑似体験できる、一人称視点の話です。
「間が空いていたにも関わらず、自分のことを憶えていてくれるアルファさん」。 「気軽にいっしょのテーブルに座り、うれしそう活き活きと話すアルファさん」。 「ふと、物思いにもふけるアルファさん」。 「それでも、心遣いを欠かさないアルファさん」。 「今日のお客は自分だけ」。 文章にしてみれば、それぞれは陳腐な要素かもしれません。 でも人間は… 特に「男」という生き物は、生涯こういう光景を求めて生きているように思えます。 僕は、三浦半島のどこかにきっとあると信じて『自分の秘密の場所』や『終の棲家にふさわしい土地』を探して歩き続けています。 北区の『浮間公園』で2年つきあった白いノラ猫は、家族になってすでに6年、このテキストを書いている今も膝の上で毛づくろいをしています。 アルファさんが見せてくれたものは、それらと同じ根幹を持つ『男の心に本当に必要な要素』だと思うのです。 抽象的な表現で申し訳ないのですが、分かる方にはうなずいていただけるのではないでしょうか? |
第31話
赤い水
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「このごろ時々、井戸水がしょっぱい」。 侵食はジワジワと進んでいるようです。
「……あー。 まあ、ハダカのつきあいってことで」と、タカヒロといっしょにおフロに入るアルファさん。 着替えの無いタカヒロに自分の服を貸してあげます。 女性の姿をしていても、このあたりは「ロボット」なのですね。 一方のマッキは、タカヒロの服装とお湯の香りから察したらしく、「帰ったらおフロはいろう」とアルファさんに対抗しています。 幼くても、このあたりは「女」なのですね。 |