■ 廃線そば
神奈川県 横須賀市 野比
【最寄】 京急バス 『 大作 』
撮影 2007/05/09




 第7話で、初めて 初瀬野邸 を訪れるココネ

 この時使われたルートは、付近を描写するカットが3点あり、ココネの通った道を推理する楽しみを刺激してくれます。

  【カット1】… 廃線跡と丘の間の、平地の道を歩くココネ。
  【カット2】… 左側に海が広がる道を進むココネ。
  【カット3】… むき出しの線路を橋がわりに歩くココネ。




 まず「カット2」で、野比海岸三浦海岸 のあたりを歩いたことは確定でしょう。
 ムサシノ運送のおじさんが、『横浜横須賀道路』 の終点 佐原 まで送ってくれたと考えれば、間違いないと思います。


 さて、問題は「カット1」です。

 廃線と、50メートルほどの平地をはさんだ道路を進むココネ… その背景に、高さ7〜8メートルのが見えています。

 佐原付近から、黒崎・三戸 のあたりまで間で こういった地形を持つのは、調べたかぎり、『京急久里浜駅 〜 YRP野比駅』 のそばを通る 国道134号線 だけのようです。

(地形的には 『京急「北久里浜」駅付近の、JRと国道134号線』 も近いのですが、あそこは道路と線路の間に、大きな川があるのです。) 



 ああ、じゃあもう確定だなー。 と喜び勇んでみたものの…

 地図を見れば見るほど、線路と道路の距離 が合わないのです。


 両者が近すぎたり… 逆に、両者がほどよく離れたと思ったら、線路がトンネルに入ったり付近に丘が無かったりして、どうにも「ピン」と来ない…










 そんなふうに、半年ほど悶々とした結果、「とにかく一度、現地に行ってみて、現物を見て考える」ことにしました。

 こんなに後回しになったのは、地図を見るかぎり付近に良い風景が無さそうなのが予想される上に、京急久里浜〜YRP野比間が3.5キロもあったからです。



 で、当日。

 途中たまたま見つけた 『くりはま花の国』 にも寄って、件の道路を歩いてみると… 悲しいほど予想通りの光景で、ガックリでした。

 山あいの町という事もあり、風景も遮蔽されて息苦しい。 とても海岸のそばの町とは思えません。

 線路も、久里浜に近いところでは予想以上にアップダウンが激しく、道路と平行になってくれません。



 それでも、そこそこ雰囲気の近い風景を見つけることができました。

 線路と道路が近すぎますが、両者が平行で、背後に丘も背負っています。

 撮影場所は 『野比 1-39』 あたりで、京急『YRP野比』から、国道134号線を800メートルほど久里浜方面に歩いた場所にある小さな踏切です。

 これより野比側に行ってしまうと、やがて線路は高架になり、丘も無くなってしまうので、考えられる最もベストな撮影ポイントではないでしょうか?

(下2枚の写真は、踏切からの左右の眺めになります)






 ちなみにこの付近の道路は、『尻こすり坂通り』 という冗談のような名称を与えられています。


 「その坂がものすごく急だったので、旅人はスッテンコロリン。
 すべり台のように麓まですべり落ちてしまった。

 それ以来この坂は、尻こすり坂と呼ばれるようになったそうな。

 めでたしめでたし。」



…みたいな、全然めでたくない昔話を想起させますが、実際の坂は実にゆるやかで、なぜこんな名前が付けられたのか分かりません。


 昔はもっと急だったのだが、使いやすい道にするために丘を切り拓いた… といった経緯が推察されます。





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