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第95話。 初夏の午後…
アルファさんは、彼方の雲の中で起こっている 放電現象 に気がつきます。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、雷というのは、けっこう頻繁に起こる現象です。
地上にドカーンと落雷しなくても、頭上の雲がドロドロドロ… と重低音を響かせているのを聞いた事はよくあると思いますが、この時は、頭上の雲どうしで雷を撃ちあっている状態です。
空が暗ければ、頭上の雲がときどきパッと明るくなるのを見ることができるでしょう。 入道雲が大きく、太陽光をばっちりガードするようなものであれば、その陰で光る雷を、明るい昼間でも確認できる場合があります。
…と、そこまで分かっていても、その雷を撮影するのは困難… というより、文字通り 運頼り です。
輝くのは一瞬ですし、音が鳴るのは光った後…
1、2の3で、狙ってシャッターを切ることは不可能と言ってよいでしょう。
さて、そんなある夏の夜のこと。
東京 の 荒川堤防 で夜のサイクリングをしていた僕は…
前方(西)の低空の一部が、ときどきフッと白くなることに気がつきました。
季節が季節なので、「遠くで花火大会をやっているのかな?」 と思いましたが、大輪の火花が見えません。
よーくよーく目をこらしたところ、彼方の低空に広がる青黒い夜空の手前に、どうも黒雲があるらしく…
それが、30秒に1回程度のペースで、フワッと薄白くなるのです。
そして気がつきました。
「もしかして、放電現象なんじゃないか?」 と。
おそらく、30キロほど離れた 入間市 のあたりで夕立があり、その雲の上層部の雷が見えているようなのです。
「こんなチャンスは滅多にない!」 と興奮したのですが、放電は30秒に1度、忘れたころに光る程度…
しかも夜なので、夜間撮影に適していない僕のデジカメでは、手ぶれを防ぐために タイマー撮影(ボタンを押すと、2秒後にシャッターが切れる) が必須で、とてもタイミングを狙えるものではありませんでした…
一応、2〜3回試し撮りしてみましたが、タイミングが合っているのかどうかサッパリ分かりません。
ガッカリしてあきらめ、帰宅したのですが…
撮ってきた写真を整理していて仰天!
1枚だけ、バッチリのタイミングで 放電 が写っていたのです。
というわけで、本当に偶然 撮影に成功した1枚が、左の写真です。
中央の雲の中間の淡い白が、放電現象です。
青黒い彼方の夜空を、忘れた頃にフッと小さく白く染める雷…
その雰囲気だけでもお楽しみください。
拳銃をぶっ放しに出かけるのは、ご遠慮ください(笑)
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