■ 珈琲豆 買い出し紀行








 先日、知人の ちーそん さんから、こんな疑問があがりました。


 11巻の巻末4コマで、ヨコハマの珈琲豆店の兄ちゃんが、
 「3年に一度くらい店に来る、タマ虫色の髪の笑顔のかわいいあのひと」
 語っていますが、アルファさんは一度に何キログラムの豆を
 まとめ買いしているのでしょう?』
と。



 この指摘を聞いた自分は、
「ええっ! 3年に一度!?」 と仰天。


 この巻末4コマはもちろん読んでいたのですが、「勘違いして燃え上がる男の憐れさ」 ばかりに目が行ってしまい、セリフに内包された貴重な情報については、完全に見逃してしまっておりました…(汗)

 3年に一度… そんなに間隔があったのか。





…で、珈琲好きのちーそんさんは、早速計算。


 ・アルファさんは、1日1杯は必ず飲むとする。

  さらに、お客さんが週に3人だとすると、
  お客さん分とお客さんと話すときに出す自分の分、
  計6杯を追加して、1週間にいれる珈琲は … 『13杯 / 週』


 ・1回の豆の分量を10gとする、豆の消費量は … 『130g / 週』



 以上から、一度の買出しで積み込む豆の量は…

  130g x 52週 x 3年 = 20,280g = 約20kg





「買い出し後は、スクーターの後ろが山盛りという感じですね」
というのが、ちーそんさん の感想です。


 他の生活物資も含めて出発時の50%ほども増した重量を抱え込まされて走らされるスクーターの身になると、背筋が凍ります。







 「週に13杯」 という数字は、一見かなり低めに見積もったものに感じますが、

 そこから導かれる数値は、アルファさん自身の 「コーヒー… 8割がた私が飲んでるかなー」 というセリフにも近似で、

 かなり良いセン行っている気がします。





 また、珈琲豆は、よほど精密に低温保存しないと、あっという間に風味が逃げてしまうものなのだとか…

 しかし、5巻巻末の室内簡略図を見るかぎり、初瀬野邸・カフェアルファの両方を含めても、貯蔵に使用できそうな機器は、小さな冷蔵庫が2つだけ

 こんなもので 20キロの豆を冷蔵したら、「開けたら全面コーヒー豆」 といった、どこぞの缶ビールのCM のような光景になりかねません。


 おそらく床下収納などでしのいでいるのでしょうが、そんな雑な貯蔵法では、肝心の風味は抜けるばかり…

 数年前の豆でいれたコーヒーなど、ただの 苦い汁 でしかなく、お客さんの食中毒の懸念もあります。





 こうして見ると、カフェアルファを訪れるお客さんが異様に少ない点も、いろいろと納得(笑)がいきますね。


 さらには、こんなデンジャラスドリンクにもかかわらず足しげく通ってくれている常連客たちが、いかに命がけの『アルファさん目当て』 なのかも推察され、他人事ながら涙を禁じえません




 カフェアルファの存続と、常連客の寿命のためにも、

 もっと足しげく 「ヨコハマ買い出し」 しなさい!

と、アルファさんをたしなめずにはいられません。



(もっとも14巻に見られるように、他店からの宅配購入
 カフェアルファのメインなのかもしれませんが…
 おもしろい指摘だったので、トコトン想像して遊んでみました(笑))



                                   (執筆 2007/12/14)







 ちなみに、いつもうちに情報を提供してくださっている なまさんから、
『オールドクロップ』 というものがあることを、2014年10月に教わりました。



 調べてみたところ、オールドクロップとは、

 『個性の強い 高品質の豆を、あえて数年間 熟成(エイジング)することで、まろやかさを生み出す技法』 なのだとか…



 ただ、それに値するだけの高品質なコーヒー豆は、現在はほとんど入手不可能であり、また、貯蔵にもそれなりにシッカリしたものが必要だそうです。


 それを施さない、単なる貯蔵によって数年を経たコーヒー豆は、「味・香りが完全に抜けた、コーヒーらしき味がするだけの代物」 に成り果てるのだとか…






 うーむ…

 やはり、カフェアルファの常連客たちには、
ある程度 命をはって もらわなければならないようですね…



 小さく丸いテーブルの上には、静かに湯気をくゆらす、漆黒のコーヒー

 テーブルの向かい側には、同じ飲み物を手に、
 少し照れくさそうに腰かける、緑の髪の快活な女性


 そばの小瓶の中には、サラサラとした白い砂糖

 親指ほどのポットに入れられたミルク

 そして、オレンジの 『ビオフェルミン止瀉薬』 の小箱






 ちょっと お腹の弱い自分にとっては、

書いてて胃が痛くなるようなカフェの風景 です(苦笑)






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