■ 男のロボットが短命な理由








『なんか…… 男のロボットは弱いんだってさ』



旅先の小さな飛行場で初めて出会った青年ロボット ナイ は、
自分たち男ロボットのことを、
そんな風にアルファさんに語ります。



「早いうちに みんな死んじゃった」

「なにが違うのかわかんないけど」


と続けるナイ。


その一言一言には、悲しさや絶望ではなく、
「どうしてなのかなぁ…」といった、
彼らしいフラットな疑問の気持ちだけが見えるようにも思えます。




とはいえ、不思議な話ですね。

『なぜか男だけが短命な、アルファ型ロボット』



たしかに生物においては、
「オスのほうが短命」なケースは少なくありません。

それは、僕たち人間とて同じこと。

たまに発表される「日本人の平均寿命」を見るたびに、
「女性は強いなぁ」という思いをあらたにする人も
多いのではないでしょうか?(笑)




しかし、ナイの口ぶりからするに、
例えば日本人のような
「男性のほうが、女性の寿命より5%程度短い」
といったレベルの短命さでは無いようです。



それでは、何が違うのか?

いろいろ考えて、僕、思ったのですが…



『オスのロボットには、
生物(?)としての生存理由がそもそも無い』


のではないでしょうか?





皆さんも聞いたことがあると思うのですが…

生物というものはもともと「メス」が基本になっており、
より強い雑種を作って生存確率を上げるために
メスから派生した異端が『オス』
なのです。



そして、ここで考えてみてほしいのですが…

アルファ型ロボットには、
『子孫を作る機能』はありますか?



明言はされていませんが、無いと考えるほうが自然です。

「アルファが「女」だってくらいには「男」だよ」
というナイのセリフからしても、
単に人間のオス・メスの外観だけ
模して作られているのが彼らだと思われます。




人間のオスを模して作られながら、
オスである必要が根本的に「無い」。


自己が自己である必要が無いことを自覚した生物に、
生存の欲求は生まれるでしょうか?


…いや、それは難しいと思います。



オスのロボットたちは、そうした自己矛盾の中で、
生物としての根源である生存欲求をゆるやかに蒸発させながら…

ポツリポツリと死んでいく、
さびしい運命の生物なのではないか…


と、想像してしまうのです。













さて、ここまでは
「人間型ロボット」という観点で推測した、
男ロボットの短命な理由ですが…


実は自分、もう1つ
「これが理由なのでは?」という
おぼろげな推測を持っています。



それは、

『アルファ型の元になった生物が、
もともとオスが短命なタイプだったのでは?』

というものです。



「元になった生物???」と思われる方も多いと思うのですが…


僕、『アルファ型は本当に、人間から得た
生物的なノウハウをベースにしているのかな?』

と思うことがあるのです。


外見こそは人間だけど、
生物的な根本が別の生き物なのではないか?

という疑問です。

(アルファ型の出生を考えるとき、第28話の子海石先生のセリフ、
「その後 全く別の視点からアルファタイプが生まれることになる」
が、心に常に引っかかっています。
本当にさまざまな読み方ができるセリフなので…(苦笑))





そこで出てくるのが、『魚』


お気づきだと思うのですが、
作中でアルファ型ロボットたちは、頻繁に、
「海」 「水の中」 「魚」 というものへの、
愛着のような懐かしさのようなものを見せています。








それを、「そこに彼女たちのルーツがあるからでは?」
と考えたとき、面白い考えが浮上します。



アルファ型の元になった生物は、
『オスがやけに短命な、水棲生物なのでは?』
という見方です。



これはずいぶん前から暖めている考えなのですが、
魚などの知識が希薄な自分には、
どうしても「そういう水棲生物」の特定ができず、
今日に至りました。

今回、「オスのロボットの寿命」を考えたときに、
「オマケ考察として組み込めるのでは?」と気づいて、
取りあえず書き残すことにしました。



魚に詳しいファンが、
いつかこの疑問に決着をつけてくれることを期待して…(笑)



魚に詳しい方からの情報提供、お待ちしています。

それでは〜。



執筆 2010/10/21




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