| 新・「Aタイプの歴史」 6 | 50年ほど先の未来 | |
| そして「人の夜」へ | |
最終話 では、
物語のメインの時代から
50年 ほどが経ったようです。
かつてアルファさんの近所で
生活を営んでいた 人間たち は、
あるいは 転居し、
あるいは その寿命を迎えたのか、
ついに一人として
その姿を見せることはありません。
しかし、
道端では 記憶キノコたちが、
かつての人間の生活を模すかのように
静かに たたずみ、
夕方の丘の上では アルファさん が、
「私の見てきたこと みんなのこと
ずっと忘れないよ」
と 誓います。
そして、今でも上空には、
「人類の進化の記憶」である DNAを
保管した ターポン が、
沈みゆく地上を記憶(観測)し続けながら、
ゆっくり静かに周回しているのでしょう…
絶滅 を 決定づけられた
悲しい生物である人類が、
その極限の状況の中で、
『たとえ 自分たちの存在が無くなっても、
誰かが自分たちを「記憶」してくれているかぎり、
それは決して消滅ではない…』と 気付き、
人類の記憶(思い出)
を 託すために挑んだ、
記憶する生命体『人』
の 開発は…
ついに成功をおさめ、
「その時」に 間に合ったのです。
「 人の夜が やすらかな時代でありますように… 」
遠い未来に、
ふたたび人類が目を醒ます
その日まで続く、
人類の記憶の『守(も)り人たち』
の 物語は、
こうして 幕を閉じたのでした。
【 2015 / 5/14 執筆 】
【 2022 / 4/27 加筆・レイアウト修正 】
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