今までより、季節 を感じさせるシーンが多くなってくる巻です。 また、セリフがグッと少なくなった 感があります。 それでも、6巻まで積み上げてきた世界観のおかげで、無言劇であっても、 その合間を読者の脳が培ってきたキャラの性格で埋めることができる… 丁寧な長期作品 だからこそできる、贅沢な展開です。 さらに、タカヒロが成長する事で、アルファさんとの年齢(外観)差がちぢまり、 「お姉さん」から 同級生的存在 へと移行しつつある過程が描かれます。 それもあってか、2人が関わる話の比率が増えてきます。 そして、カフェアルファに、かつてない 悲劇 が… |
第55話
中空の白
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「空を飛ぶ夢」を見るアルファさん。
読者としても今までは、「あぁ、またこの夢を見たのね」ぐらいに考えていたのですが、タカヒロの発言からすると、どうも物理的に飛んでいた可能性が… 短い話ですが、後を引く謎話です。 ちなみに、「空を飛ぶ夢」というのは、深層心理で性的欲きゅ(げふげふ |
第56話
白い朝
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ものすごく澄んだ冬の星空を見たタカヒロの感想は「きもちわりー」でした。
憶えていないのですが、僕も幼少時に母の実家ですごい星空を眺めたときに同様の感想をもらして怖がったそうです。 たしかに「ブツブツの表面」を想起させて不気味に感じることがありますね、星の多い空。 それから10年もせずに天文学に興味を持つようになるあたり、人生は不思議でいっぱい… て、『ヨコハマ〜』に関係なくてごめんなさい… 明けゆく空の下、一面の霜が光のつぶとなってきらめきます。 露にかがやく地面を見回して「すごいねー きれいだねー」とうれしそうに舞うアルファさんに声をかけられて、『…うん』と応えたタカヒロの視線は、しかし地面を見ていませんね。 気持ちはよく分かります(笑) 家族・友達という感の強かったタカヒロにとってのアルファさんの存在が、少しずつ変化を見せ始めたころのお話です。 |
第57話
白ペンキ
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『カフェアルファ』を眺めながら、オーナーとの思い出をふり返るアルファさん。
オーナーが「思い出」に変わっていってしまうのは、年月の経過からか、アルファさん自身の親離れによるものか… あるいは両方? |
第58話
藍の粒ふたつ
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数少ないアルファー室長のお話。 自分、大喜び。
初登場時より、回を重ねるたびに、物思いにふけるような独特の女性美が増しているアルファー室長。 実在すれば、自分の中でお付き合いをお願いしたい女性ナンバー1なのですが、ファンサイトを見て回るかぎり、不思議と人気が無い… 下手したら、ご年配であられる子海石先生にも負けるほど(泣) いつか、世界で唯一の「アルファー室長」ファンサイトとしても機能してみようかしらん? 『夕凪を、見て歩く…』。 さて、話を物語りに戻しましょう。 二局長の、『今年は海沿いの雨、すごいかもよ』と、室長の「海が遠いところは?」の質問に対する『雨なしかなあ』というセリフが、夕凪の時代のきびしさを物語ります。 そして、室長にとって二度と会えない育ての親、子海石先生。 その先生は地上で、もう1人のアルファと幸せな日々をつむいでいます。 |
第59話
藍色の瞳
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非常にめずらしい表情のアルファさんが多数見られる回です。
転落して、事態が飲み込めずに呆然とするアルファさん。 カメラを紛失して、じょじょに広がる不安。 不安をおしてカメラを探す彼女をあざ笑うようにもてあそぶ波に絶望してたたずむ。 疲れきって、力なく帰路につく。 あきらめきれず、惰性のように紛失現場に戻ってくる。 人間が大切なものを無くしたときの心の動きと行動が見事なまでに描かれていて、本気で彼女がかわいそうになる話です。 ボロボロに汚れたアルファさんが見られる意味でも、大変に貴重なエピソードですね。 |
第60話
青い服
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この7巻の表紙にもなっていますが、ココネの制服は実に愛らしいです。
白と青といったシンプルで清涼感のある組み合わせは、着ている人間自体にも清涼感が求められますが、当作品の登場人物でも、ココネぐらいにしか着こなせないのではないでしょうか? でもこれ、「ムサシノ運送」の制服だから、皆この色着てるんだろうなー。 ぐはっ、似合わん。(誰が?) ちなみに僕の愛する2大カラーは、青と白です。 空、富士山、東海道新幹線… 大好きです。(どうでもいいですね、はい) この日、イタズラ心をおこして、ココネを後ろからおどかそうとしたマルコ。 とっさにココネに拳銃を突きつけられて仰天。 言われて見直してみると、ココネの腰の後ろにチラチラ見えていた小さなケース、これ「ホルスター」だったのかもしれませんね。 さて問題は… この拳銃の出所。 第1話で、アルファさんがオーナーから預かった護身用拳銃の話があったため、僕も単純に『ロボットの人は皆持っているのだろう』ぐらいに考えた時期もありましたが… ココネの拳銃に装填されているの「9ミリ電気弾」という名称から、近接で使用するスタンガンのようなもので、アルファさんの持つ実弾拳銃とは異なるようです。 そこで思い出したのが、「学研まんがシリーズ」の『お金と切手のひみつ』に載っていた、『昔(明治時代?)の郵便配達夫は、拳銃を携帯していた』という話。 現金書留などを運ぶこともある配達夫は、そのために強盗に命を狙われる危険がともない、護身用拳銃を携帯していたそうです。 そう考えると、おそらく治安も崩壊し、自分の身を自分で守らなければならない「夕凪の時代」において、「ムサシノ運送」が配達員にショックガンを携帯させたのも、うなずける話ではないでしょうか? 「銃刀法にひっかからないの?」というお声もあるでしょうが、治安が崩壊した時代ですので、取り締まる側の人間自体が存在しないか、あるいは「ムサシノ運送」自体が国営である可能性が考えられます。 基本的に文明が後退しているこの時代に、配達員にショックガンを支給できる『ムサシノ運送』の資金力を考えると、やはり国営なのでは? (ムサシノという「国名」を冠している企業ですし) ちなみに、この回… せっかく友人になったココネに拳銃を突きつけられるわ、千葉への海水浴をことわられるわと、正に踏んだり蹴ったりのマルコ。 哀れです。 |
第61話
紅の山
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出先で夕立にあったアルファさん、道ばたの物置で雨宿りの話です。
見上げた空に、上層と下層の雲が同時に見えたときって、何かすごく得した気分になります(笑) ものすごい広がりを見つけたような気がして… ちなみに、雨水を少しかぶったせいか、いつもよりまとまっていないラフな髪になっているアルファさん。 それがまた、彼女の飾らない性格に似合って愛らしいです。 |
第62話
台風
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原題では『風ヘンに台』のほうのタイで表記されています。
物語が大きく動くキッカケとなる話です。 「浜松ウェザーアタック」が観測した台風の中心気圧は『905ヘクトパスカル』。 日本の観測史上に爪あとを残す、悲惨な大被害をもたらした超大型台風に匹敵するすさまじい中心気圧です。 おじさんの勧めで、ガソリンスタンドに避難したアルファさん。 台風も過ぎ去って自宅に帰る道々、彼方に見えてくる我が家の屋根を見つけて「ホッ」とするアルファさんの笑顔は、結末を知っているとツラいものがあります。 夜になって、おじさんが『初瀬野 邸』のアルファさんに会いに来たとき、月琴を弾くアルファさんの目元が赤くなっているのも哀れです。 |
第63話
私の場所
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『カフェアルファ』の倒壊は、当人のアルファさんはもちろん、タカヒロにも大きなショックを与えたようです。
「なじみの風景が消滅するのは、自分の一部が死ぬようなものだ」といった言葉を、どこかで聞いたような気がします。 しかし、生きていれば避けられないもの、それが無常。 『カフェアルファ』が見せたものの意味を、彼の心の糧としてほしいものです。 そして、心の巣が無くなったアルファさんは、『自分の場所を広くする』ために旅に出る決意をします。 『ヨコハマ〜』が、別の魅力を求めて動き出す記念的エピソードです。 |
第64話
手紙
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『初瀬野 邸』で一夜を明かすことになったココネ。
机の上に、万が一、初瀬野先生が帰ってきたときのために、アルファさんが残した「オーナーへの手紙」が。 それを見つけて読もうか読むまいか悶々とするココネは、結局一睡もできなかった様子です。 手紙の枚数も、パッと見で数10ページあり、アルファさんのオーナーに対する「思いの丈」が実感されます。 |
第65話
岸
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出発前のアルファさんとの会話を思い出しつつ、彼女から預かったスクーターを走らせるタカヒロ。 13歳になリ、気づけば彼女と並ぶほど背丈が伸びた自分。
マッキは早速ザブトンを買って、タカヒロとのキッカケづくりに励みます。 『こっちの道はさ。 よく、知ってるバイク通るからね』という、かわいいウソのオマケつき。 …タカヒロは無頓着でしたが。 |