■ 海辺の丁字路
神奈川県 横須賀市?
最寄 不明
執筆 2023年 01月22日



最近(2023年1月)は忙しくて
なかなか『ヨコハマ名所』探し
時間が取れず もどかしいのですが…


先日 久しぶりに「風来魚さん」
サイトのを拝見したところ、

第117話『高度1m』で 登場した、
マッキがアルファさんとバイクの練習を
しているときに訪れた『海辺の丁字路』

についての 紹介ページ がありました。

(ただし、風来魚さん ご自身が
「本当に思いつきで 信憑性にも乏しいです」と
語っておいでの紹介ですが)




実は 自分も以前
このコマの現地の特定に挑戦したのですが、
ついに見つけることができず 断念 した
苦い思い出があります。

その時の 候補地 の 1つが、
奇しくも 風来魚さん も 目をつけられた
『湘南国際村から降りてきた道が、
西海岸の国道134号線と合流する丁字路』
(湘南国際村 秋谷入口 交差点)
でした。

湘南国際村 秋谷入口 交差点



そこで今回は、
「なぜ 湘南国際村の丁字路が、
自分の中の候補から外れたのか?」
と、

「なぜ いまだに、
この名所の特定に
至っていないか?」

の 2点について、
長々と(笑)語ってみようと思います。



結果的に 大変に長大なページ
なってしまいましたので、

どうぞ お時間のある時にでも、
腰を落ち着けて 地図を片手に、
じっくりと お読みいただければ幸いです(^^






まず、この
「湘南国際村 秋谷入口 交差点」
についてですが…


『海(水面)の すぐそばの
丁字路である点』


『丁字路から右折した後、1本道で
「北の大崩れ」(長者ヶ崎)まで行ける点』


『道路両サイドに
ブロック斜面がある点』


などから考えると、
ものすごく 物語に合致した候補地
といえます。

海辺の丁字路 ヨコハマ買い出し紀行



一方で この丁字路は、
風来魚さん ご自身も語っておいでの通り、
いくつかの矛盾点 を 抱えた候補地でもあります。


その筆頭は、この交差点が
『あ!ゴーの道』(ドパーンコーナー)
すぐそば という点…

「湘南国際村 秋谷入口 交差点」と「あゴー!の道」 ヨコハマ買い出し紀行


それこそ、右折した直後に
ぶち当たるほどの近距離
で、

「あ!ゴーの道」の現地写真を撮りに行った僕が
カメラを構えていた歩道こそが、
正に この「湘南国際村 秋谷入口 交差点」
の 脇だったほどです。



なぜ それが 問題 かというと…

実は この「あ!ゴーの道」
第15話(作中時間で 40〜50年ほど昔)
の時点で すでに、海面上昇の影響で
波をかぶりつつあった道路

なのです。

「あゴー!の道」 ヨコハマ買い出し紀行



もう お分かりですね。

当時から水没しかけていた道路が、
さらに海面上昇が進んだ「夕凪時代」に
残っているはずがない
のです。



ただし、マッキたちが通ったのは
「かつての 国道134号線」ではなく、

海面上昇に応じて
少し斜面を登ったところに新設された
「海から逃げるよう 上へ上へと
つけかえられた道」


つまり
「夕凪時代の 国道134号線」
の可能性は あると思います。



夕凪自体の三浦半島には、
こうした道が各所にあるそうで、

実際、マッキたちのバイクが
走っている道より「海側」に、
なぜか外灯の列が見えている
コマが ありますから。

「北の大崩れ」への道 ヨコハマ買い出し紀行


その意味では、
時代に応じて位置が変わった
『夕凪時代の、
湘南国際村 秋谷入口 交差点』

の存在の可能性もまた、
皆無ではない と 自分は考えています(^^




さて、もう1つの問題点 ですが…

それは『体感的な 距離』です。



丁字路 を 右折した後の物語は、

マッキとアルファさんが
バイクに同乗しながら
アレコレと会話をし、

マッキも じょじょに
バイクに慣れ、

ある程度の時間の経過を
はらみつつ、

やがて遠方に
『北の大崩れ』が見えてくる…


という流れになってます。



これも、
「湘南国際村 秋谷入口 交差点」
にとっては 不利な要素 です。

というのも、
この交差点から『北の大崩れ』までは
道なりに2キロほどしか離れておらず、

それこそ 日常的に
「北の大崩れが目視できる」場所

だからです。

「あゴー!の道」から見た「北の大崩れ」 ヨコハマ買い出し紀行

「あゴー!の道」のあたりから見た「北の大崩れ」


夕凪自体のバイクは非力ですが、
それでも 時速10〜15キロぐらいは
出るようなので、

2キロ という距離は
10分もあれば 余裕で走破できる

でしょう。



実際に 117話を読めば
実感すると思うのですが、

丁字路から「北の大崩れ」までの描写には、
とても10分とは思えない
時間の厚みがあります。




何より、
「北の大崩れ」までの国道134号線は
北西に ほぼ一直線にもかかわらず、

『バイクの進行方向の風景が
二転三転している』
ことから、

少なくとも 10キロ前後
1時間程度は走っている ように
感じられるのです。



以上が、僕が
『湘南国際村 秋谷入口 交差点』を
候補から外した
2つの大きな理由
でした。






さて、とはいえ、

かくいう 僕自身
いまだに この名所の特定には
至れておりません。



なぜかというと、

国道134号線ぞいに
『湘南国際村 秋谷入口 交差点』のような
「海辺の良い感じの丁字路」
が、
他に見つからない からです(困)



丁字路 自体は
いくつもあるのですが、

「海辺、かつ海を見下ろすような高さ」
が 無かった
り、

「規模が大きくて、
作中と雰囲気が合わない」

などの理由で、

どうにも シックリ来ない のです。

(強いて言えば「武山駐屯地」そばの『林 交差点』
作中の距離的に かなり良い感じなのですが、
あの交差点は 大きく
夕凪時代に水没すると考えられる駐屯地の地面と
それほど標高差も無い のです)





そこで 色々と考えた末…

特定は できないまでも、
『作中の風景から逆算して、
該当しそうな地域を
絞り込んでみてはどうか?』

と 思いつきました。


先述の通り、
マッキたちが『北の大崩れ』
着くまでには、
何回か「バイクの進行方向の風景」が
描写されています。



「丁字路」自体は特定できなくても、
それら 個々の風景 を特定することで、

『少なくとも 丁字路の場所は、
〇〇よりは遠方(多分 南)』

ぐらいの特定は
できるのではないか?
と 考えたわけです。



という事で、以下で
『北の大崩れ』に近い順に
1つ1つの風景を検証

してみようと思います。






バイクになってしまう ヨコハマ買い出し紀行


これは マッキたちが
「北の大崩れ」(長者ヶ崎)に到着する
直前の風景を描いたコマで、

遠方に、作中で何度も描かれてきた
特徴的な岬 が 見えています。



思うのですが、
むしろ このコマの場所こそが、

かつて「あ!ゴーの道」(ドパーンカーブ)
が あった場所から
少し高いあたりに 新設された道路


現代でいう
『湘南国際村 秋谷入口 交差点』近辺
ではないでしょうか?

「あゴー!の道」から見た「北の大崩れ」 ヨコハマ買い出し紀行

(岬の大きさからして、もう少し
「北の大崩れ」に近い場所
かもしれませんが、

こんなふうにカーブした先に
「北の大崩れ」一望できる場所は、
現代の国道134号線では
この辺りしか無いのです)





「北の大崩れへの道」 ヨコハマ買い出し紀行


続いては、
マッキが じょじょにバイクに慣れて、
走行中でもアルファさんと気軽に会話
できるようになってきた頃の風景で、

かすんだ海面の向こうに
岬らしきものが見えています。




この 岬の形 をもとに、
自分の手持ちの写真を
色々と探してみたところ、

『天神島 臨海自然公園』から
北を眺めたときの風景が
結構 似ている
ことに
気がつきました。

「天神島 臨海自然公園」から北を望む

(これは 海に突き出た公園 からの視点なので、
マッキたちが走っている海辺の斜面から見た場合、
もう少し 左右に縮めた地形 に見えると思います)




この場合、

作中のコマの
左から中央に見えているのが
「長者ヶ崎(北の大崩れ)の東にのびる
下山口あたりの丘」
で、

コマの右端が
「立石公園の東にある丘」
ということになります。




あるいは、そのものズバリ
「立石公園の東にある丘」が
コマいっぱいに広がっている

と 考えても
結構 似ている気がします(笑)

「天神島 臨海自然公園」から北を望む 2

(「立石公園の東にある丘」以外を、暗く加工してあります)



この『天神島 臨海自然公園』は、
「北の大崩れ」から直線距離で 4.5キロ
道なりに 5.5キロほど離れているので、

時間経過的にも ほど良い
ように思われます。



もちろん、
海辺の「天神島 臨海自然公園」は
夕凪時代には水没 してしまいますから、

マッキたちが走っているのは
その東の丘

僕が勝手に『佐島の丘』と呼んでいる
佐島町の高台 の 斜面に、
新たに造られた海辺の道
という事になりますが(笑)




ただし、この推測には
1つ大きな矛盾があります。

佐島の西の道路
国道134号線ではない のです。


これは、「こっからは一本道」という
アルファさんのセリフと、
どうしても 矛盾 する
悩ましい難点です。



とはいえ 正直、この辺りが
候補地の 南下のリミット
なんですよね。


ここより さらに
国道134号線ぞいに南下して
三浦市 に 入ってしまうと、

もう、丘らしい丘が
無くなって
しまいますから…


ここでなかったとしても、
この近辺であることは 間違いない
と 踏んでいます。




「北の大崩れへの道」 ヨコハマ買い出し紀行


…と、そんな僕の
ここまでの考察の苦労
あざ笑う かのように
登場するのが このコマです。


「海辺の丁字路」から走り出して
しばらくした頃の、
最初の風景描写のコマなのですが、

ご覧の通り やや左下に 木々が並び、
それなりに標高のありそうな風景


彼方には「複数の岬らしきもの」まで
見えてしまっています。



「国道134号線」に、
こんな場所は ありません(泣)



強いて言えば、
先述の「佐島の丘」の北の
「大楠中学校入口 交差点」のあたりで
底々 標高が上がりますが、

本当に ささやかな高さですし、

そもそも 周りを丘に囲まれた
この交差点あたりの風景は、
件のコマのような
開けたものではない
のです。

「北の大崩れへの道」 ヨコハマ買い出し紀行

「大楠中学校入口 交差点」の辺りから 西を向いた光景です。
それなりに高さはありますが、丘や家に囲まれて
漫画内のような風景は広がりません)




これが つまり、

僕が 長年にわたって
『海辺の丁字路』の場所を
特定できていない理由

なのです。


景色の いくつかには
心当たりがあっても、

それらが1本の線で
つながってくれない

んですよね…(泣)



とはいえ
これまでの情報を総合すると、

件の「丁字路」の在処は、
少なくとも
『秋谷』『佐島』あたりよりは
南 あるいは東の、
国道134号線の近く

であろう事は推測できます。



その条件を満たしつつ、

「夕凪時代の海面上昇によって
海辺になる丁字路」
で、

かつ「それなりに知名度のある交差点」
となると…



やはり『林 交差点』

あるいは「林 交差点」より
やや高台(内陸)に新設されると思われる
夕凪時代の『林 交差点』
(もちろん 現在は存在しない)
なのでは?

という結論に 至らざるを
得なかったわけなのです。






というわけで、

現在の実在する道路だけを元に考えると
どうしても 手詰まり感 のある
このヨコハマ名所(丁字路)ですが…


実は、
『夕凪時代の地形を 考慮してもいい』
のであれば、
下記のような見方
できたりします。



そもそも ヨコハマ世界
「10数メートルの海面上昇」が
起こった時代の話
で、

これは『縄文海進』と 呼ばれる
2万年弱ほど昔 の 海面上昇と
似たところがあります。


つまり、
「縄文海進の時代の地形」は、
そのまま「夕凪時代のマップ」として
転用できる
わけです。

「北の大崩れへの道と、縄文海進」 ヨコハマ買い出し紀行

(上図は、大ざっぱですが Googleマップに
「縄文海進」時代の地面(茶色)を重ねたものです。
茶色でない所は つまり、「夕凪時代に水没する」
考えられる範囲です)




それを元に考えると、

現代において、
三浦市あたりから
「北の大崩れ」(長者ヶ崎)に 向かうときに
最も便利な『林 交差点』は、

残念ながら
水没して使用不能



ですが 仮に、
夕凪時代の「丁字路」

そこから 県道26号線
少し北上した『武山』
(横須賀の標高200メートルほどの山。
「砲台山」「三浦富士」と連なる)

の 北側 あたり…

夕凪時代の海辺
新設したものと考えると、

位置的・距離的にも
良い感じになりそう
です。

「海辺の丁字路、建設予定地」 ヨコハマ買い出し紀行

(この辺りに新設すると便利そうな『夕凪時代の丁字路』
先ほどの全体マップの、真ん中より やや右下 の辺りです。
ここから (西)に進むと、北の大崩れ へ行くことができます)




この場所の強みは、
『漫画内の流れに
合致している』
点です。


海辺の丁字路でありながら、
直後に なぜか「木々を見下ろす
高台らしき所」
を走っている、
その理由も説明できます し…

(湾の北側、県道26号線の西の高台
走ったと考えれば合点が行きます)



そのコマの彼方に見えていた
「複数の岬らしきもの」とも
よく合致します。


(縄文海進の地図を見てみると、
西に 3つほどの岬 が並んでいます)




何より、夕凪時代に
ここより海に近づいてしまう と、
(県道26号線ぞいに南西)

「北の大崩れ」への道に入るために
わざわざ湾を越えなければならなく
なってしまう
ので、

この位置は「ほぼ確」
言える気がします。




一方で 残念なのは、

この近辺の光景が
『漫画内の丁字路の見た目に
似ているとは言いがたい』
点です。


考えてみれば当然ですが、
県道26号線の途中の道は
「現代では 単なる直線道路・十字路」で、
丁字路ではない
のです。



たとえ
「丁字路」であったとしても、

それは あくまで
「県道26号線を主軸として
右折・左折する丁字路」
でしかなく、

マッキたちが行き当たったような
「そこから左右両方に曲がれる丁字路」
ではありません。


海辺の丁字路 ヨコハマ買い出し紀行



事実、

「武山の北あたりにある」

「(曲がりなりにも)
北の大崩れに1本道で行けそう」

「丁字路か 十字路」


という条件を
満たせそうな場所として
『横須賀市 武町の、交差点』
(正式名称は不明。「通研入口 交差点」から、
西に 200メートルほどの位置)

を見つけたのですが…


衣笠方面(北)から
やって来たときの光景は
下の写真の通りです。

「横須賀市 武町の、名称不明の交差点」 ヨコハマ買い出し紀行



これは ちょっと、
漫画内の描写と違いすぎますね…


丁字路の向き
仕方ないとしても、

交差点の先の標高が
特別 下がっているようにも
見えません
し…






さて最後は、

今回 このページを
書くにあたり、

「そういえば『ポストカードブック』
ヨコハマ地図 に、
「北の大崩れ」へのルート
描いてあったような気が…」


と思い出して確認した話で
しめようかと思います。



何しろ あの地図は
「公式」ですから、

そのものズバリの答え
載っている可能性もあるわけです。



そう思いつつも
大して期待もせずに、
地図を眺めてみたところ…

仰天 しました。


「北の大崩れ・海辺の丁字路」 ヨコハマ買い出し紀行


なんと 本当に、

『北の大崩れへの1本道に
入るための丁字路』(画像右下)
が、
ズバリ描かれていた のです!



その 丁字路の位置 も、
「Mt.Take」(武山)の北 で、

「NTT横須賀 研究開発センター」へと
つながる『通研入口 交差点』から、
南西に少し行ったところ



まさに、僕が目をつけた
『横須賀市 武町の交差点』近辺

だったのです。



長年の謎が、
ついに解明されました!


第117話で出てきた丁字路は、
やはり この
『横須賀市 武町の交差点』
と考えて間違いありません。



ヨコハマファンの皆さんからの
拍手が聞こえる思いです。

ありがとう、皆さん ありがとう。


胴上げは ほどほどにw

サインは並んでなwww




…という気分になれないのは、

やはり
「武町の交差点」の光景が、
漫画内のそれと 全然 似ていない

からでしょうね。


何かこう…
「違う」のです。

歯車の かみ合ったような、
バシーン!と来るものが
薄い
というか…



それに そもそも、

このマップの丁字路が
117話の それだとしたら、

「漫画内の描写」とも
異なってしまっている

ではありませんか(困惑)

(マッキたちが辿りついた丁字路は、
水辺 に面していました。

このマップの丁字路の そばにも、
一応 川はありますが、
「丁」の上辺が向いている方向は 陸側

これは いくら何でも…)


「海辺の丁字路?付近」 ヨコハマ買い出し紀行


公式資料からして
矛盾している
のでは、
もう お手上げです…(泣)






大変に長い 考察(の材料)
最後まで お読みいただき、
本当に 本当に
ありがとうございました。
<(_ _)>


以上が、僕が
「117話の丁字路」を追いつつも、
いまだ その特定に至れていない理由

になります。


僕には無理そうですが、
ここまでの資料をもとに
「若いヨコハマファン」の方の中から
特定の成功者 が 出てくれれば
うれしいですね(^^




ちなみに僕は 先ほど、
「公式資料からして矛盾している」
と言いましたが、

これは必ずしも
正確ではありません。




というのも、

丁字路で一休みをしていた
アルファさんは
「こっからは一本道だからラクだよ」
とは言っていますが、

『こっから一本道で
北の大崩れまで行けるよ』
とは
一言も言っていない のです。

小休止するマッキとアルファさん ヨコハマ買い出し紀行

(すみません。 実は最初から 分かっていたのですが、
考察の対象地域が無制限に広がりそう だったので、
あえて この点にふれないように話を進めてきました(苦笑))



つまり、

丁字路を右折 した先は たしかに
しばらく一本道かもしれませんが、

「その道は、まだ
国道134号線ではない」
可能性も残っている
わけです。

(というか、そうでないと
展開が 公式マップと矛盾 しますし…(笑))





このように、
不明瞭な要素の多い
このヨコハマ名所ですが、

岬の形などから 少なくとも、
『秋谷・佐島あたりよりは南』
であることは断言できます。



これに合致した
「夕凪時代には海面上昇で海辺になる、
国道134号線に合流できそうな丁字路
(あるいは十字路)」
を、

いつか ヨコハマファンの誰か
辿りついてくれることを、
祈っております。



もちろん 僕自身も、
その「誰か」になれるよう
これからも地道に調査を続けます
が…(^^




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