マルコの来訪もあってか、
カフェアルファ店内で展開する話が多い気がする巻です。


作中の不思議な生物の筆頭である
『キノコのようなもの』
大きく掘り下げた話も心に残ります。






  第100話    ふたり
 「ヨコハマ買い出し紀行」の話数も、3ケタに突入です。


 『カフェアルファ』の改装資材を求めてか、廃屋となった他の別荘らしき建物を物色するアルファさん。
 なかば雑草に埋もれつつも稼動している自販機を発見し、1本購入してみます。
 電気ではなく、『北の町』の「外灯」と同じシステムで動いている機械ではないかと思われます。

 そういえば僕も以前、伊勢湾の真ん中にポツリと浮かぶ神島の南西の浜で、サビた自販機を見たことがありますが…
 アレにお金を入れるのは勇気がいりますね。
 光に誘われて集まった大量の虫におおわれた、サビた鉄の箱。 ボタンを押したら、ジュース以外の何かがゴトリと出てきそうな不気味さがあります。

 一番近い民家からも数100メートル以上離れていて、どうやって動いているのか不思議だったのですが、多分地中に電線が埋め込んであったのでしょう。 予想もしていない場所で文明の利器に対面すると、人間の底力のようなものを感じさせられます。

 ところで今回の話、アルファさんしか登場しないのにタイトルが『ふたり』なのはナゼなのでしょう? 最後のコマを見る限り、自販機とアルファさん(バイク含む)で、「ふたり」のようですが…
 人間から生み出された「ふたり」といった所でしょうか?

 そういえば、旅先で暗くなった空の下を1人黙々と歩いていると、ふと、自販機の光にも「友」を感じる事があります… その意味で「ふたり」なのかもしれません。



  第101話    開店の二杯
 新装開店した『カフェアルファ』に意外なお客様。
A7M3型の2人、ココネマルコです。

 ナイの件もあってか、最初からライバル心むき出しのマルコは、挨拶1つにもアルファさんとの距離を計ります。
 (アルファさんと初対面の頃の、マッキが思い出されます)

 ココネと自分の仲の良さをアピールしようとしますが、当のココネの心がアルファさんにいってしまっているので完全に空回り。 102話の前編のような話です。



  第102話    A7M3丸子マルコ
 楽しそうに会話するアルファさんとココネから、視線を外すように窓の外をながめるマルコが、ちと憐れです。

 「自立」を盾にアルファさんにささいな反撃を試みるも、失敗。
 そのスラスラと出てくるセリフからも、多分、今日ここに来るまでに何度も練習して、「これなら反撃できないだろう」と確信していたのではないでしょうか? アルファさんなら、あいまいに笑ってスルーする… という期待もあったかもしれません。

 決して底意地の悪い娘ではないマルコですが、親友であるナイとココネの両方にとって、自分よりもアルファさんの占める割合が高い現実を肌で感じ、どうしようもない寂しさからとった行動のようです。

 こうして見ると、本編で出てくるA7M3型の中で、もっとも精神的に若いのがマルコかもしれませんね。

 マルコのトゲのある発言の後、どうやって場を取りつくろえばいいか困り果てて、ずっと下を向いてしまっているココネ。 話の内容上、手の出しようも無く、つらかった事でしょう。

 ちなみにこの回のアルファさんのセリフですが、どうも今までのアルファさんの言動と一致していなくて違和感があるのが、ちょっと惜しい気がします…


 今回の話を何度も読み返すと、この3人の中でマルコにだけほとんど居場所が無かった(自業自得とはいえ)ことに気づき、ちょっとかわいそうすぎかな…?


 (この時のマルコの心情についての詳しい考察は、こちらをご覧ください。)



  第103話    崖の水
 コーヒーに使う「水」を求めて、スクーターで遠出をするアルファさん。

海のそばで見つけた小さな水源のそばには、不思議な『白いキノコ』が。

 「透明な水が、こうボワボワって湧いているのが理想なんだけど」と、理想の水源を語るアルファさんですが、山の少ない三浦ではなかなか難しいのでは?



  第104話    渡り
 北半球に6年、南半球に6年。 計12年周期で地表を観測しつづけるターポンが、今日から6年間、南半球に旅立ちます。 船内の物憂げなアルファー室長が、たいへんに愛らしいですとか個人的感想でゴメンナサイ

 3つの大きめのガスライターの点火の有無が、ターポン後部の噴射口状の部分に連動しているようです。 『毛翼の生成』という言葉から、ターポン自体も生物的な機構をもつ乗り物のようです。

 アヤセは今回も、「個人的イベント」のために、どこかのコンクリの上に腰を下ろして空を見上げています。

 空の上と、地面の上。 それぞれの人が、それぞれの6年後を祈って別れます。



  第105話    「超黒」
 すばらしくおいしい黒糖を手に入れたアルファさん。 感涙にむせびながら、食します。 タカヒロと面と向かいながら、切なそうに震えつつ泣き出したりと、知らない人が見たらトンデモナイ誤解を生みそうな場面が多発。

 でも、『シンプルだけどおいしい物』に出会うと、人間、感動せずにはおれない気持ちは良く分かりますねー。 「塩」なども、単に海水を煮しめて干しただけの「天日塩」が、一般家庭で使われている「食用塩化ナトリウム」には無い様々なミネラルのおかげで深〜い味わいを醸し出すのは、皆さんもご存知のとおり。

 そういえば僕は、水戸で「ウニ寿司」を食べたときに、そのすばらしく深い味わいに、数秒間「隣で話しかけている母の言葉が、音声としか認識できなくなった」ことがありました。 音声は聞こえても、言葉として理解できないほど、脳の感覚が舌先に集中してしまったわけですね。 あれは感動しました。 アルファさんみたく泣きませんでしたが。


 「A2」を『あやしげなレコード』などと、ご先祖さまに対してなにげに不謹慎発言をしているアルファさんだったりもします。



  第106話    道と町と住人
 今回アヤセが訪れたのは、小山の上にそびえる『白いビルのようだがそうではなく、さわるとキノコのように柔らかい』正体不明の物体のある山の麓。

 近くに「おそらく夕景がきれいだった公園」もあるなど現地描写が細かい事から、実在の場所がモデルになっていると思われます。
 いつか場所を解明してみたいですが、アヤセは結構他県(茨城とか)にも足を延ばしているので、特定は難しいかな…?

 『過去にも何かが建てられた記録は無い』というアヤセの発言が、一見するとキノコの発生が人間とは別の原因によるものであるように感じさせますが…
 地元のおばさんの「ここは、いつも何か気配がする」という発言や、キノコが「生えている」ことから推理すると、それらの起源は地面の下にあるのかもしれません。

 また、この『ビル』の正体を考えるとき、僕ら自身、ビルという先入観に捕らわれないよう注意すべきなのかも?
 その形状と大きさから、自分たちになじみのあるビルを連想してしまいますが、山の上にあるのは単なる白い巨大な直方体なのですから…


 別の話でたびたび登場している白いキノコの、集合体か、それらのメッカ・発祥地が、この白いビルではないか? …というのが、僕の考えです。



  第107話    常連さん
 今回は単独でアルファさんに会いにきたマルコ。 さすがに前回のこともあり、やや間合いを警戒するめずらしいアルファさんが見られます。

 というか、アルファさんとこういう付き合い方をしている友人はマルコだけで、その意味貴重な存在のキャラといえます。 しかし、「アウェイ」の分不利なマルコは、アルファさんの出した「超黒」にやられてボロ泣き

 1本取ったり、取られたり。 心の底から許しあえる間柄ではないけど、ほのかなライバル心が互いをつなぐ友情。 あるよね。



  第108話    しずく
 雨が近づいてくる過程の描写が秀逸な回です。
 スッと暗くなる空。 水蒸気を含み始める空気。 廃屋から持ってきた材木には雨水がつき、蒸発するときに、染み付いた香りを放ちます。


  2人で同じ景色を見つめていたお客さんの男女を見た後だからか…

  部屋に満ちた「よそのうちのにおい」の違和感からか…

  たった1匹で鳴きつづけるカエルの声のせいか…


 ふとオーナーとの思い出がよぎるアルファさんです。



  第109話    潮端の子
 コンクリの岬で2人きりの、タカヒロアルファさん。

 西(浜松?)への研修と、三浦を離れる決意をアルファに告げるタカヒロ。
片田舎の三浦でも、少しずつ時間は流れ、環境は変化していきます。

 2人の会話の大半が「うん」で構成されていますが、大切な話ほど、多くは語らないもの… リアルなやりとりです。



  第110話    ふたりの船
 明日はタカヒロ三浦を離れるので、一緒に泳ぎに出かけるマッキ
また少し、髪を伸ばしはじめたようです。

 新しい水着を披露するマッキですが、タカヒロの反応は淡白…
幼なじみという事もあり、なかなか進展しない2人です。 特にタカヒロ。

 『カフェアルファ』で1人空をながめるアルファさんは、一緒に行くのを辞退したのでしょうか? かつて、アルファさんとココネが泳ぎに出かけたときに、おじさんが辞退したように…




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