■ 水神さま (暫定編)
埼玉県 さいたま市 三室
【最寄】 国際興業バス 『 三室中学校 』
撮影 2007/06/20




 アヤセが、初瀬野先生の勧めで、さいたまの国に会いに行った不思議な生物 『水神さま』

 その水神さまの祭られている小さな神社は、一体どこにあるのでしょう?



 実は この場所、特定が かなり困難のようで、いくつかの 「ヨコハマ」ファンのサイトにおいても 「探しに行ってみた」 という旅行記こそあれど、『納得の場所に辿り着いた!』 という報告は皆無です。


 中でも、(すでに閉鎖してしまいましたが) 大手現地考察系サイトの1つである 『コアジロ買い出し紀行』 の管理人 「cocone さん」 は、

 かつての 見沼入江 があった範囲にそって、「氷川神社(染谷) ・ 八雲神社 ・ 山村神社 ・ 稲荷大明神 ・ 熊野神社 ・ 鷺神社 ・ 見沼弁財天 ・ 諏訪神社 ・ 荒神社 ・ 氷川女体神社」 の、実に 計10ヶ所を周ってみたものの…

 決定的な風景には、ついに出会えなかったのだとか。


 うーん… これは相当に 難敵 のようですね…





 取りあえず、漫画内の描写からヒントを集めてみましょう。

 ★近くに 「岩槻への渡し」があることと、係留してある渡し船の向き、
  アヤセが 「大宮のほうに回る」 と言っていること、
  入江を右に見ながら北上しているらしい点から、
  おそらく 「さいたま市」 の、南東部 近辺。

 ★水神さまのいる場所は、水辺を見渡せるの端。

 ★彼方まで、水面が広がっていることが確認できる。
  つまり、水神さまのある場所は、付近より確実に高い




 以上から、さいたま市の南東部の、かつて 見沼入江 があったと思しきライン (地図で見てみると、小川をはさんで唐突に、区画整理された水田・畑のみの場所になるので、一目瞭然です) ぞいにある か何かで、敷地内に付近よりさらにいくらか標高のある土地を持つ場所が、モデルになっている可能性が高いと考えられます。


 僕も、上記の推測にしたがって、『氷川神社』(大宮)『鷲神社』 に加えて、寺社ではない 『大宮公園』(第一 〜 第三)『市民の森』(見沼)『土呂町』 などに足を運んでみたのですが…

 なかなか決定打を得ることができずにおりました。

(たとえば、ほんの50メートルほど先に別の丘があって視界が開けないなど、漫画内の雰囲気との相違が気になったのです)





 さて、そんなある日、ゼンリンの電子地図で見沼入江の海岸線(?)を流し見していたところ… 不思議なものを発見しました。

 周りに家も何も無い空地のような場所に、寺社と思しき小さな建物がポツンと表示されているのです。


 が、サイズが小さすぎる
どんなに大きく見積もっても3メートル程度です。

 「この控えめな雰囲気は、もしや…」 というわけで、出かけてみました。













 件の場所は、さいたま市 の 三室


 池袋からJR『東浦和』 へ…
 駅前から、国際興業バスバス停『三室中学校』 へ…
 という流れで目的地の南西700メートルに到着したわけですが、

 荷物を入れたズダ袋を開いて背筋が凍りました。


 地図、忘れちゃった!

 バス停から現地までのルートをプリントアウトした地図を、机の上に置きっぱなしにしてしまったのです。


 距離にすればそれほどは遠くないですが、町自体がカーブしていて位置が分かりにくい上に、目的の建物自体が とんでもなく小さい…

 建物名も不明なので、誰かに尋ねるわけにもいかないのです。



 正直この時点でかなり萎えてしまい、「帰ろうか?」と思ったほどですが…

 プリントした地図の記憶を必死に掘りおこし、紆余曲折と偶然もあって、1時間かけてなんとか目的地を発見することができました。



 目的地に到着… といっても、実はこのお社、深い林のド真ん中にあり付近からは目視できません

 それでも辿りつけたのは、入口に、半分木々に隠されていながらも古ぼけた石の鳥居が健在であったおかげでした。

 鳥居をくぐり、「どう見ても他人様の畑では?」と不安になる、ふかふかした土の小道を進み、林の奥にたたずむ小さな社を発見したときの安堵といったら…

 小さく、やや新しいお社のそばには、それよりも大きいが全壊してしまっている屋根の骨組みが、地面に横たわって静かに土に還りつつありました。



 現地の雰囲気は決して悪くありません。 ほどよい木漏れ日と、静けさ…

 社自体の「忘れられた」感じが、実にヨコハマ的です。



 しかし、何と言うことでしょう。

 周りを木々に囲まれているせいで、肝心の(将来)見沼入江になる平地を見渡すことができないのです!  ぬぬー… 惜しい。


 ちなみに、そばの石碑には『大峯山 富士山 雨降山』の文字が…
富士山は、あの富士山。 大峯山は、奈良の大峰山とすると… 雨降山て何だ?

(後日調べたところ、神奈川県の 『大山』 (別名 雨降り山) の事ではないか? というあたりまで辿りつきました。)






 林の中の、ふわふわの腐葉土の上を歩いていると…
ふと、誰かの視線のようなものを感じました。


 振り返ってみると…  ああっ! 水神さまっっっ!


 僕の目の前で、木漏れ日の中で白い体を輝かせつつ、子供のような植物のような生き物が、ただジッとこちらを見つめていたのでした… などというベタでバレバレな嘘は自粛しようと思います。(手遅れ


 では、左の写真に写っている白い物体は何?

 カンの良い方はお気づきでしょう。 そう、ズダ袋です。

 林の暗い部分でデジカメのシャッターを半押しにして絞りを固定し、そのまま木漏れ日のあたる場所を撮ったので、ズダ袋に注ぐ太陽光が過剰になって、こんなに真っ白に撮影されたのです。 いえ、もちろん意図的にですが。


 拡大するとモロバレなのですが、サムネイルでならゴマかせそうだったので、このようなイタズラをしてみました。

 せっかく足を運んだのに収穫が少なくて寂しかったので…(苦笑)














 左の写真は、社の北に広がる平地と、それを高台から見下ろしたものです。

 夕凪時代には、これらの畑が全て遠浅の海になってしまうのですね。
自分は今、その海底を歩いているのだな〜。


 この辺りから振り返ると、先ほどののあった林がこんもりと見えています。

 この林に向かって、左のほうから歩いていくと、「参詣受付」の小屋に向かって歩くアヤセの構図と近くなりますよね… などと我田引水なことを考えてみたり(笑








 上記の写真を撮った場所の近くには、こんなノボリが。

 意外と近くにあるようですね、カフェアルファ。 (こじつけは大概にしなさい



 またしばらくは地図とにらめっこをして、可能性がありそうな場所を見つけたら出かけようと思います、とほほ…






 ちなみに、まさか いないとは思いますが、「今回の場所に行ってみたい!」 という方のために、以下にアクセス方法を記します。


 まず、JR『東浦和』 へ。

 続いて駅前から 国際興業バス に乗り、4キロほど離れた現地にできるだけ近づきます。 「馬場折返場」行きなら 『三室中学校』 で、「埼玉東営業所」行きなら 『宮本 ニ』 で降車します。

 後者は、自分は試したことが無いので、ちょっと自信がありませんが…


 バス停から現地までの経路はちょっと説明が難しいので、左の地図 を参考にして下さいね。



2017年 3月 に、10年ぶりに この場所を Googleストリートビューで調べてみたところ… なんと 一帯が、住宅地 と 老人ホーム に様変わりしておりました

 というわけで、今回ご紹介した小さな社は、もう現存しません

 地元ではない人間の 勝手な感慨だと分かってはいるのですが、一抹の寂しさを感じずにはおれない、今の自分です…)





















 なお、社から南南東に600メートルほど行くと、一部で有名な 『氷川女体神社』(すごい名前だな)があります。

 そこでの写真がけっこう雰囲気良く撮れたので、ちょっと自慢させてください(笑



 今回は「ヨコハマ〜」からだいぶ遠いレポートになってしまいました。

 最後までお付き合いくださった貴方に、お詫びと感謝を申し上げますー。








 ちなみに後年になって、mixi にて、

 『水神さまのいた林は、芝浦工業大学(埼玉校舎)の
敷地内にある林だ!』
と主張する人がいたのですが…

 僕は、「それはおかしいのでは?」 と思っています。

(その人にも、遠まわしに 「おかしいのではないでしょうか?」 と指摘してみたのですが、まったく聞き入れられなかったため、ここに僕の反論の論拠をメモ書きしておこうと思います)




 まず 水神さまの鎮座ましましていた場所を特定するために 無視できない要素として、あの生物が 『見沼入江の水神さま』 と呼ばれていた点 が挙げられます。


 『見沼入江』 とは、江戸時代に 浦和・大宮・川口市にまたがって実在した、大きな沼 だそうで、現在は 芝川 という川に沿った低地になっている一帯です。



 ここに、まず1つ矛盾点があります。

 芝浦工業大学(埼玉校舎)は、「芝川」 から、
一番近い場所でも2キロも離れている
のです。



 たしかに夕凪時代になると、芝浦工業大学のすぐそばまで波打ち際がせまってきますが…

 実はこれは、「見沼入江」 のものではなく、反対側(東側)にある 綾瀬川 を中心とした低地が水没したことによって生まれた海面なんですよね。

 強いて言えば、綾瀬入江 … でしょうか?(笑)




 逆に、「見沼入江」 と呼ばれる範囲で、かつ、渡し船の行き先である 岩槻 からも大きく離れていない場所となると…

 現在の JR 『大宮駅』 の、東南東5キロほどのあたりが適当と考えられます。


 だからこそ、僕をはじめとする多くの現地系ヨコハマファンは、その一帯に目星をつけて 調査をくりかえしているわけなのです。






 そして、これはさらに後年になって、偶然判明した事実なのですが…


 どうやら 水神さまの所在地 は、

大宮(さいたま都心部) の南 〜 南東 で間違いない らしいのです。



 決め手になったのは、以下の画像です。






 このイラスト地図は、僕がネットを徘徊していたところ偶然拾ったものなのですが、その絵柄から、作者である芦奈野先生ご自身が描かれたもの と見て間違いないと思われます。

 (入手先は失念してしまったのですが、画像ファイルのプロパティによると、2012年の頭ごろに入手したもののようです)





 この地図の左下を、よく見てみると…





 なんと、林の中に 「水神さま」 の姿が!




 では、この林はどこなのかというと、ヒントは画像の少し右のほうにあります。


 右(北)のほうに、水没していない ビル群道路 が見えていますね。

 ビルは 「さいたま市街地 北部のもの」、道路は 「国道16号」 と考えるのが、位置・規模・水没の有無的に 最も可能性が高そうです。



 以上から相対的に、『水神さまの所在地は、大宮駅(さいたま都心部)の 近辺から、南東 〜 南 へ何キロか行ったあたり』 という推測ができるわけです。



 それは同時に、大宮駅から北北東に6キロも離れ、同時に国道16号から わずか数100メートルしか離れていない 「芝浦工業大学」 は、候補地として、可能性が低すぎる ことを示す、大きな証拠の1つとも言えるでしょう。




 逆に、先述の通り、(自分も含めた)多くのヨコハマファンが 『大宮駅の南東5キロあたり』 を中心に、モデルとなった場所を探しているのは、

 まだ明確な場所の特定はされていないものの、「当たらずとも遠からじ」 なのではないか? と、やや自画自賛も含めて(笑)自分は思っております。








このページを書いて後 10年を経た、2017年3月

あらためて 『水神さまのいる林』
モデルとなった場所について、
とことん再調査をしてみました。


その調査結果については、下記ページをご覧ください(^^

■『水神さま』(暫定版)2





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