2巻では、1巻の最後に登場した ココネ や、
カマス使いの アヤセ など、
物語の脇をかためる重要人物の顔見せが始まります。


カメラ を手にした事で物語に思い出が生まれ、
おじさんたちの 若い頃の風景 も断片的に描写されます。


作品世界に 時間軸 が加わりはじめる巻です。






  第8話    午後1/1
 アルファさん、ココネ と初めての対面。
オーナーからのメッセージと、ロボット用の『カメラ』を受け取ります。

 ロボット同士のメッセージ伝達用インターフェースはのため、アルファさんとココネはディープKISS状態 ハァハァ
 この時代に現存するロボットのほとんどが女性型ということを考慮すると、開発者を単に「エロおやじ」呼ばわりするだけでは済まない、根深〜い何かが感じられますね。 もっとも、開発者が全員おやじではありませんが。 初期には、子海石先生 も関わっていたそうだし。

 アルファさんの正式型名『A7M2』が明らかになった回でもあります。

 そして、おそらくアルファさんにとって初めての、同じロボットの友人。
この後、2人の交友は、夕凪の時代の終わりまで長く続くことになります。

 勤務中で初対面という事もあってか、ココネが「やや融通の利かない娘」として描かれているのが興味深いですね。



  第9話    ひと粒300枚
 オーナーがアルファさんに贈ったカメラは、外見がまんまキャラメルのストレージ(外部記憶媒体)によって1粒で300枚程度の撮影が可能。
 もちろん、江崎グリコの看板商品のパロディです。

 対物レンズに、アルファさんたちの「瞳」に似たパーツを使用しているため、被写体は文字通り、『カメラの目』に見つめられる気持ちになるのでしょうね。

 ケーブルを使うことで、カメラの見ている風景を撮影者が直接感じることも可能ですが、アルファさんいわく『きもちわうい』そうです。
 カメラと自分が見ているものが異なるのはもちろん… 自分は両目なので3次元、カメラは単眼なので2次元。 カメレオンの見る風景を僕らは想像すらできませんが、アルファさんの体験はその上をいく異常体験だったと思います。


 ココネは、自分の名前を『研修所』に行くときに自分自身でつけたそうですが、理由は忘れてしまったとか。

 後日、アルファさんが『こ、ココネの家ってのは、ココね!…』とベタベタな駄じゃれを口走りますが… 案外ココネも言葉の意味を知らずに、自分に関係のある誰かが良く使っていた『ココね』という単語の響きが気に入って、自分の名前に選んだのではないでしょうか?

 それにしても『研修所』
 単に、量産型が人間社会の基本知識を得るための施設とも考えられますが、第60話でマルコに不意打ちをかけられたココネがとっさにショックガンを構えてしまったことから、特殊な何かを訓練する場所であったとも推測できます。

 この謎は、マンガ内で最後まで語られることはありませんでしたが…

(…あ。 でも、あの拳銃、『ムサシノ運送』から支給されたものだったりするかも。 理由は、第60話の感想を書いたときにでも話しますね。)


 ちなみに、ガススタンドのおじさんが「したっけ」(そしたら)という方言を使っていますが、僕は茨城県に住んでいた頃、これを地元の人が使っているのを聞きました。
 三浦でも使われている方言なんでしょうか?



  第10話    カマスのアヤセ
 アヤセ 初登場。
『小網代の入江』タカヒロ と会い、ミサゴの縁で付き合いが初まります。

 2人のミサゴに対する思いについて、「年の離れた男が、同じ女のことを考える」とナレーションされていますが、不変的な対象の価値感を共有できる間柄というのは、現実でもなかなか得難いもの。 うらやましい関係です。

 僕は、このアヤセは、作者である芦菜野先生が自分自身を作中に登場させる意味で作り出したキャラではないか? と踏んでいるのですが…



  第11話    プロテイン
 エロ話です。(失礼な)

 夢の中で幼女化したアルファさんとココネがキス未遂だったり、コーヒー牛乳飲んだアルファさんが「声でちゃった」り…

 お客がタカヒロだから事なきを得ましたが(何がどう?)、僕だったらアウトですね。(何がどう?)



  第12話    ナビ
 オーナーからもらった「カメラ」で風景写真を撮りに行くアルファさんですが、残しておきたい風景の多さへの圧倒感や、出会う風景に見入ってしまった結果、ほとんどシャッターを切れずに1日が終わってしまいます。

 カメラで撮影を始めたころに、誰もが一度は通る道。
個人的に、深い親近感を抱くエピソードです。

 ちなみに彼女が撮影しようとしてやめた丘の上の建物は、『NTT 横須賀研究開発センター跡』だそうです。



  第13話    鎌倉花火
 今日は、『鎌倉の入江』で、10年ぶりの花火大会。

 皆は、『鎌倉の入江を見下ろす丘』でお弁当を広げ、飲み会を催して打ち上げを待ちます。

 今回の目玉の大玉は、まんま対空ミサイルという感じですが、軍備にはとんと疎い僕にはそれ以上はさっぱり… 横須賀の米海軍あたりに絡めたマニアックなギャグだったりするのだろうか? 己の無知が悔やまれます。 かろうじて、先行する艦がミサイル発射の台座を牽引しているらしい所までは見てとれるのですが…

(後日、あるファンサイトさまを通じて、このミサイルが『ナイキJ』という代物であることが判明しました。 すっきり〜。)



  第14話    砂の浜
 子海石先生の診療所に遊びにきたアルファさん。

 そばの海中には、半分砂に埋もれて海草の苗床になってしまっている、かつての道路の柵の名残があります。

 海底からジュースのビンを見つけるアルファさん。
 容器に使われる材質のメインがアルミに移行して、すでに四半世紀が経ちますが、今でも海底にはビンのゴミがゴロゴロしているのでしょう。 心境複雑です。

 ただ、内容量が少なく扱いづらいとはいえ、ビンには独特の清涼感があり、飲料水の入れ物としての地位から転落したことは個人的に惜しいです。



  第15話    砂の道
 若い頃のガススタンドのおじさんと子海石先生が、砂に埋もれたかつての渋滞道路をバイクで走り、「今」をその目に焼き付けます。(『あゴー!の道』経由)

 子海石先生は『今しか見らんない景色だよ』と言っていますが、正に、すべての景色は一期一会。 良く生きるという行為は、「今」を、装飾を取り払ってまっすぐ見つめることから始まるのではないでしょうか?




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